今だから知りたい?! パンケーキの意味と歴史
-ホットケーキとの違いは結局…

今だから知りたい?! パンケーキの意味と歴史<br />-ホットケーキとの違いは結局…

日本でも大人気のパンケーキ。優しいふんわりした食感と、様々な味付けで食べられるため飽きにくいというのも嬉しいところ。ブームの影響もあり日本中でパンケーキ専門店が多く出来ましたし、スーパーでは様々なホットケーキミックスやパンケーキミックスが陳列されています。当たり前のように名前を言い、食事やおやつとして食べているパンケーキ。ですが、その発祥や「パンケーキとホットケーキの違い」を改めて考えると意外と知らなかったりしませんか?

パンケーキについて

パンケーキとは

パンケーキ(pancake)はフライパンなどの平鍋で焼いた、丸く平らな形をしたパン/ケーキの総称です。
こうした緩い説明になっているのは、パンケーキという言葉は決まった料理を指す言葉ではなく、説明に当てはまるような料理全体の総称となっているため。日本でホットケーキとも呼ばれているスポンジないしカステラに近い生地のもの以外に、クレープやガレット・バノック・日本のお好み焼き・中国の葱油餅などなど幅広い食べ物が「パンケーキ」の一種として扱われています。ヨーロッパではホットケーキ状のものではなく、パンケーキ=クレープ皮に近いものが一般的という国も少なくないのだとか。

パンケーキ(pancake)という言葉は“pan”と“cake”を組み合わせたもので製法と形状に由来しています。ケーキと言われると一般的にスイーツとして食べられているケーキを連想しますが、『プログレッシブ英和中辞典(小学館)』によると“cake”という言葉には

  1. ケーキ,洋菓子
  2. 平たく丸い形にして焼いた[揚げた]食べ物

という二つの意味があり、パンケーキに使われている“cake”は二番目の平たく丸い形の食べ物を指していると考えられます。ただし、デンマークで食べられているたこ焼きに似た形状の“エイブルスキーバー(Æbleskiver)”もパンケーキの一種に含められているあたり、厳密な条件でもないと考えられます。

また、英語“pan”は底が平らで浅い片手鍋のことを指す言葉。このためパンケーキは「フライパンなどの鍋で火を通したもの」と紹介されたり、枠を少し広めてグリドル(鉄板)や片手鍋などを使って直火調理したものと定義されることもあります。IHはこの際置いておくとして、窯やオーブンで焼かないものというくらいの括りですね、しかし、こちらも『孤独のグルメ』で話題になったオーブンで焼き上げるカステラパンケーキなどがありますから、直火で焼いたもの以外はパンケーキと言えないということではありません。

ドイツのバウムクーヘンなどのように「パンケーキと呼ぶならこの条件を守るべし」という決まりは無いので、かなりの数の類似点を持つレシピがパンケーキという大きなカテゴリーに入れられています。一般的なパンケーキの主材料としては小麦粉・卵・牛乳もしくはバターですが、小麦粉以外にトウモロコシ粉・ソバ粉・ジャガイモ粉などを使ったパンケーキ類も多くありますよ。

パンケーキ・ディ

プロテスタント・カトリック系のいくつかの宗派、その宗派の影響力が強い国では2月中旬から3月初頭にパンケーキ・デイ(Pancake Day)と呼ばれる日があります。日にちが決まっていないのはパンケーキ・デイが単なる記念日ではなく、キリスト教の移動祝日と関連しているため。キリスト教では春にイエス・キリストの復活を祝うイースターという大イベントがありますが、その前にキリストの苦難に思いを馳せて自らも悔い改めの表明をするという“四旬節(レント)”と呼ばれる期間があります。現在はそこまで厳格でないことも多いようですが、昔はこの四旬節の間は厳格な食事の節制が行われ動物性食品などは食べない決まりがありました。

四旬節は復活祭の46日前に当たる水曜日(灰の水曜日)から開始されます。そこで、民間では四旬節に入る前には謝肉祭(カーニバル)を行うことで肉や乳製品を消費するという風習が広まりました。パンケーキディは灰の水曜日の前日である「告解火曜日(Shrove Tuesday)」のこと。この日、イギリスやカナダ・オーストラリア・ニュージランドでは四旬節に入る最後のタイミングで牛乳・卵・砂糖を使い切るためにパンケーキが導入されたようです。

パンケーキディの開催日は
2020年:2月25日
2021年:2月16日
2022年:3月1日
となっています。

ホットケーキは和製英語なのか

パンケーキと互換性のある言葉・食べ物としてホットケーキという物もあります。ちょっと昭和レトロ感の漂う、喫茶店などで出てくるアレ・お母さんが焼いてくれる菓子パンのようなアレです。ホットケーキのレトロなイメージからか、近年オシャレでインスタ映えするスイーツとして紹介されるのは高確率でパンケーキと表記されていますよね。時折ホットケーキというのは和製英語=正しくない英語のためパンケーキと言うのが正しいのだと説明されていることもありますが、この説明が正しいかというと微妙なところ。

というのも英語にもhotcakeという言葉は存在しており、「sell like hotcakes(飛ぶように売れる)」という慣用句もアメリカ英語にはあります。英語の辞典『Cambridge Dictionary』にもhotcake=a pancakeとして掲載されていますし、よりフランクな英語版のレシピサイトなどではホットケーキ=アメリカンスタイルのパンケーキであるという説明も目にします。わざわざアメリカンスタイルと付けられるのは、本来のパンケーキはクレープやガレットに近い、平らで薄い生地の食べ物だったため。これがアメリカへ伝わると生地にベーキングパウダーを入れるようになりました。

このためホットケーキ(hotcake)という言葉についてもイギリスで食べられていたパンケーキとは別物としてそう呼ばれていたという説、小麦粉ではなくコーンミールを使って作ったパンケーキをホットケーキと呼んでいたという説もあります。はっきりと説明が付かないのは、ホットケーキという呼び名は今現在アメリカで日常的に使われている訳ではないため。日本でホットケーキもしくはパンケーキと呼ばれているものを食べたい際、アメリカで「hotcake」と言っても通じないことが多いようです。

加えてホットケーキ=和製英語説が浮上した理由として、日本ではアメリカからホットケーキという言葉を取り入れたわけではなく独自にホットケーキという言葉を作ったという説もあります。諸説ありはっきりしていませんが、フランパンではなくホットプレートで焼いていた・温かいケーキだからホットケーキと命名されたなどの語源説があります。日本では独自の発想からホットケーキという呼び名が付けられて定着した背景+近年のアメリカでは日本で言うホットケーキを「パンケーキ(pancake)」と呼んでいることから正しい英語はpancakeだと言われるようになったのでしょう。

日本でのパンケーキ・ホットケーキの呼び分け

食品表示など法的な部分からパンケーキ・ホットケーキを呼び分ける基準は決められていません。慣例で呼びわけているというのが実情ですから、販売店や人によってどちらの呼称を使うかはマチマチ……ではあるのですが、一応呼びわけられている傾向はあるのでご紹介します。「それは違う」と思われる部分もあるも知れませんが、個人的見解も含むということでご容赦ください。

ホットケーキ

日本では昔から喫茶店の軽食・家庭で作られる母の味として親しまれてきたホットケーキ。生地自体にも結構しっかりと甘みがついており、バターとメープルシロップもしくは蜂蜜で頂くことが多い存在。ご家庭によっても違いがありますが、お店の場合は“食事系ホットケーキ”というものはほぼ見かけません。パンケーキと呼ばれているものよりも生地の直径が大きめ・生地も厚みがあるものが多いように感じます。ホットケーキはガッツリ食べたい時に嬉しいスイーツ系軽食、生地が主役という感じが強め。

シンプルなパンケーキのイメージ

パンケーキ

パンケーキはホットケーキを筆頭にクレープからお好み焼きまで様々な料理を含む言葉。なのでホットケーキと大きく異なるのは“食事系バリエーションも豊富”という点でしょう。サラダやシチューと一緒に提供されるもの、ハムエッグを乗せるなどのしょっぱい系メニューも多くあります。生クリームなどを乗せてスイーツとして食べる場合も、豊富なトッピングの風味を活かすために生地は甘みが控えめ。かつ、ホットケーキより薄めでサイズが多いように感じます。焼いた生地自体が主役になるホットケーキに対して、パンケーキは組み合わせるものの味を引き立てることが得意と言えるかもしれません(パンケーキでもバター&シュガーなどシンプルに生地を楽しむものもありますが)。

そのほかパンケーキ専門店では上記の理由からパンケーキの一種としてクレープ類を取り扱っている店舗もありますし、スポンジ生地オンリーのホットケーキに対してフワフワ食感のスフレパンケーキ・スキレットに入れてオーブンで焼き上げるカステラパンケーキなどのバリエーションがあることも特徴です。あとはトレンド的な理由からメニュー名を「パンケーキ」に変更されているお店も見かけます。パンケーキという言葉は幅が広くワールドワイドなので名前を変えても問題ないですし、そちらのほうが若い女性が頼んでくれそうですしね。

パンケーキの起源と進化の歴史

パンケーキという言葉は多くの食べ物を含んでいます。小麦を水で練って加熱するという調理方法については各地で自然発生したと推測されていますから、インドのフラットブレッド“タリペス”や中国の葱油餅なども含めてしまうとそれぞれの場所で誕生・進化したとしか言えないように思います。なので、ここでは日本でホットケーキとも呼ばれているタイプに類する平らな円形・パンに近いスポンジ食感の食べ物を「パンケーキ」として、起源と原題のようなレシピが確立するまでをご紹介します。

発祥は古代ギリシャ・古代ローマが有力

ヨーロッパ系パンケーキ類の起源として有力視されているのが、古代ギリシアや古代ローマ時代に食されていた生地に牛乳(乾酪)を使うパンもしくはケーキ古代ギリシアには“tagenias (τηγανίτης)”と呼ばれる小麦粉・オリーブオイル・蜂蜜・乾酪で作られたパンケーキのような食べ物があり、朝食用として食べられていたと推測されています。また、古代ギリシアのアテナイオスが2世紀頃に書いた『Deipnosophistae(食卓の賢人たち)』には小麦粉またはスペルト小麦の生地で作られた“staititas(σταιτίτης)”に蜂蜜・ゴマ・チーズをトッピングしたものについての記述もあるそう。

ちなみに、古代ギリシアに発酵パンの製法を伝えた国はエジプト。古代エジプトにも様々なパンやケーキのレシピがあったことから、パンケーキはエジプト発祥・元々は神様への捧げものとして焼かれていたのではないかという説もあります。また、古代ローマはギリシアからパン作りなど様々な技術を吸収し、自国の食文化に取り入れました。ローマ人も小麦粉・オリーブオイル・牛乳(乾酪)などを混ぜて焼いた生地に蜂蜜をかけて食べていたと考えられています。4世紀~5世紀頃に記されたという古代ローマ(ローマ帝国)時代のレシピを集めた『Apicius(アピシウス/ラテン語: De re coquinaria)』にもパンケーキのレシピがあると紹介されることもあります。

『Apiciu』に掲載されているパンケーキのルーツとしては“ova sfongia ex lacte”が紹介されることもありますが、こちらはバターと卵・牛乳を混ぜて生地を作り、揚げて胡椒と蜂蜜を添えるというもの。レシピに小麦粉は登場しておらずオムレツのレシピのように思えます。個人的にはBOOK-VIIに登場する“Alita Dolcia(英語でanother sweetの意味)”の方がパンケーキに近いレシピに思えます。

[296] ALITER DULCIA

BREAK FINE WHITE BREAD, CRUST REMOVED, INTO RATHER LARGE PIECES WHICH SOAK IN MILK [and beaten eggs] FRY IN OIL, COVER WITH HONEY AND SERVE.

引用元:Project Gutenberg’s Cooking and Dining in Imperial Rome, by Apicius

引用元である『Apicius』の英訳サイトでは「フレンチトースト」のレシピと注釈が付けられていますが、BREAK FINE WHITE BREAD=パン粉だとするとケーキ状のものが出来上がると考えられます。昔は小麦粉の代わりにパン粉を使ってプディングやケーキを焼いていたので有り得なくはないかなと。

レシピでは揚げることになっているのでパンケーキと言えるかは怪しいですが、古くからグリドル(鉄板)を使った直火調理は行われていました。鉄板もしくは鍋などを火にかけるだけなので、窯のない庶民にとって近世に入るまで一般的な調理方法でもあったようです。揚げるよりもコストのかからない“(油を引いて)焼く”という調理法でパンケーキ系のものが食べられていた可能性も否定できません。

パンケーキイメージ

石器時代からパンケーキはあった?

パンケーキのルーツは古代ローマよりも更に前であるという説もあります。その根拠となっているのが、アルプスのエッツ渓谷で発見された男性のミイラ“アイスマン(Ötzi/エッツィ)”彼の胃の内容物を調査したところ挽いたインコーン小麦に水を加えて加工した物が、腸からは煤が検出されたことで、約5300年前には既に小麦粉に水を混ぜて焼いたパン状のものを食べていたと考えられています。また、約1万年前の新石器時代には小麦などの穀物を粉砕して火を使って調理していたため、エッツィよりも更に古い時代からパンケーキの原型はあったと主張する方も。

ただし、穀物粉+水を焼いたものはパン・ペイストリー類全てのルーツとも言えてしまうもの。パンケーキの起源というのも間違いではないのでしょうが…ちょっと無理矢理感があるようにも感じられます。エッツィは乳糖不耐症の因子があることも判明していますし、古代人の多くは乳糖不耐症の因子を持っていたそう。ヨーロッパで乳製品を食べることが普及したのは古代ギリシア・ローマ時代以降というのが定説ですから、(ヨーロッパの)パンケーキの起源や原型と呼べるものについても同時期に確立したというのが妥当ではないかなと思います。

15世紀にパンケーキという言葉が誕生

古代ギリシアやローマで食べられていたパンケーキ様のレシピは、ローマ軍の遠征や民族移動・交易などによって各地へと広がり、その土地土地に合ったレシピへとアレンジされていったと推測されています。15世紀までにヨーロパの様々な地域で小麦粉やソバ粉をベースに、ワインやエールなどのアルコール、クローブ・シナモン・ナツメグなどのハーブやスパイスなどの幅広い材料を使った独自の(広義での)パンケーキが食されていました。フランスのクレープも13世紀にガレットが宮廷料理に取り入れられたことで誕生したというのが定説になっていますから、13世紀までにはフランスでもパンケーキの一種であるガレットが確立されていたと考えられます。

クレープ/ガレットについてはこちら>>

イギリスでもnibbleによると15世紀頃に刊行された料理本に“pancake”という記述が登場しているそうです。また、イギリスではパンケーキディ(告解火曜日)の伝統的なイベントとして「パンケーキレース」が行われています。パンケーキレースは参加者がフライパンを持ち、パンケーキを空中に放ってフライパンで受け取る動作をしながら走るというもの。告解火曜日にパンケーキ作りで忙しかった主婦が、礼拝を知らせる教会の鐘に慌ててフライパンを持ったまま走ったという逸話が元となっています最も古いパンケーキレースはバッキンガムシャー州のオルニーでは1445年から行われているそうですから、この伝承はそれ以前の話・パンケーキもそれ以前から存在していたのでしょう。

このためイギリスで“pancake”が登場したのは14世紀~15世紀初頭にかけての時期と考えられます。ちなみに四旬節(レント)に入る直前のタイミングの告解火曜日にパンケーキが焼かれるようになったのは、四旬節に入る前に卵や牛乳・バターを使い切るために考えられたというのが定説です。同じく四旬節前に行われる謝肉祭についてはキリスト教以前の風習が起源とされていますし、クリスチャンでも信仰と胃袋は別という方もいたでしょうから「禁じられた期間に入っておく前に思いっきり食べよう」という風潮もあったように思います。

イギリスのパンケーキは薄い

15世紀頃から食べられていたと言われるイギリスの伝統的なパンケーキは、私達日本人が想像するホットケーキ状のパンケーキとクレープの中間的な存在。材料は日本の一般的なホットケーキ/パンケーキと変わらない・砂糖が入らない程度なのですが、水分(牛乳)の量が多めでベーキングパウダーを入れない=生地が流れやすく焼いても膨らまないという特徴があります。このためパンケーキと言うよりはクレープ生地のイメージに近い厚さで焼き上がります。薄めの生地にレモンジュース&シュガーをかけ、生地を折るか巻くかして糖蜜をかけて食べるのだそうですよ。

アメリカでの普及と進化

お家のパンケーキイメージ

15世紀までにはイギリスを筆頭にヨーロッパ各地でそれぞれパンケーキもしくはフラットブレッド類が作られるようになっており、17世紀頃には各国からの移民達によってアメリカ大陸へも持ち込まれました。植民地時代のアメリカでは既にパンケーキが食されており、1607年には地元の素材であるトウモロコシ粉で作った“Indian cakes”についての記録もあるようです。このトウモロコシ粉で作ったパンケーキ/フラッドブレッドは地域により“Johnnycake (journey cake)”とも呼ばれ、入植初期には主食だったとも言われるほど広く食されていました。発酵工程がなく、鍋があれば直火で焼けるという手軽さから多用されたのでしょう。パンケーキが食事系メニューにも使われるのもパンの代用品として食べられていた背景からと推測できます。

アメリカの料理を取り上げた料理本としては初とされる、1796年出版の『American Cookery』には“Johny Cake, or Hoe Cake”と“Indian meal”というパンケーキのレシピが2つ掲載されているそうです。1700年代にはアメリカでパールアッシュ(炭酸カリウム)を膨張剤として使用したクイックブレッドも作られており、パンケーキもこの方法でふんわりした食感のタイプが作られるようになっていったようです。nationalgeographic.comによればトーマス・ジェファーソンの時代(19世紀初頭)には膨張剤を入れた“グリドルケーキ”が作られるようになっていたそうですよ。私達が食べているホットケーキやそれに近い食感のパンケーキの発祥はイギリスではなくアメリカとも言えますね。

ちなみに、ジェファーソン時代のパンケーキが“グリドルケーキ”と紹介されているように、アメリカ国内で「パンケーキ(pancake)」という言葉は1870年代まで一般的に使用されていませんでした。おそらくこの頃にオーブンに入れて焼くマフィンやアメリカ式スコーンに対して、フライパンで予熱時間なしに焼ける手軽な朝食としてパンケーキも普及していたのでしょう。19世紀末頃には安全性の高いベーキングパウダーが発売されたこともあり、さらに北米では朝食用としてクイックブレッド類が普及していきました。

また、19世紀後半はパンケーキに一つの革命が起きた時期でもあります。1889年に「Aunt Jemima」のパンケーキミックスが販売され、より手軽にパンケーキが作れるようになったのです。しかしこのパンケーキミックス、発売当初の不評で売れ行きは良くなかったそう。アメリカのキッチンにパンケーキミックスが普及したのは1940年代~1950年代と、しばらく経ってからのこと。ちなみに、日本にパンケーキが伝わったのは明治半ば(1800年代後半から1900年代初頭)とされています。大正の頃には喫茶店などで販売されるちょっとお高めの軽食だったそうですが、アメリカでは既にパンケーキミックスが売られてたんですね。

メープルシロップも北米産

人によって勿論好みは色々ですが、昔ながらのオーソドックスなホットケーキ(パンケーキ)と言われると角切りのバター+メープルシロップをかけたものを想像されるのではないでしょうか。メープルシロップはサトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料で、産地としてはカナダが有名ですよね。このメープルシロップが採れる樹木・採集方法を発見したのは北米ネイティブアメリカンの方々なので、新大陸到達以前のヨーロッパにはメープルシロップが存在しませんでした。ホットケーキにはバター+メープルシロップでしょう、という感覚はヨーロッパではなく北米で完成したものなんですね。生地のフワフワ感といい、メープルシロップと言い、日本はアメリカ式の影響も受けつつ独自にパンケーキを進化させていると言えそうです。

参考サイト:The Nibble: Pancakes「パンケーキ」と「ホットケーキ」の違いHot off the Griddle, Here’s the History of PancakesHow to make pancakes: Easy recipes for British and American styles

今回ほとんど触れていませんが、歴史を調べる中で各国のパンケーキ写真も色々見ました。違うものもありますが、全体的なイメージとしてはイギリスに限らずヨーロッパのパンケーキは薄い。何も言われずに目の前に出されたら「クレープの生地、失敗して厚くなったの?」って言っちゃいそうな感じです。クレープもパンケーキの一種なのでそれはそれなんですが、日本だとクレープ・パンケーキは別の食べ物として認識しているので(してますよね?)これがパンケーキですと言われると違和感が凄いです。見慣れているせいかハワイ含むアメリカと、日本のパンケーキが一番美味しそうに見えました^^;

ちなみに自分はホットケーキミックス(パンケーキミックス)を使わない派です。子どもの頃から母が小麦粉にベーキングパウダーを入れて作っているのが普通だったので、高校生くらいの時に“HM(ホットケーキミックス)”が分からず同級生に唖然とされた経験があったりします。商品数と陳列棚のスペースを見る限り、現日本の家庭では小麦粉よりプレミックスを使う方が多いのかな。小麦粉派としては「HMがあれば何でも作れるんだよ?!」と言われると、ちょーっとモヤッとします。小麦粉のほうが用途は広いと思う…。