冬至の由来や風習の意味とは
…カボチャや柚子湯で運気アップする?

冬至の由来や風習の意味とは<br />…カボチャや柚子湯で運気アップする?

何をしたら良いのかわからない夏至よりは季節行事感があるものの、イベントが盛りだくさんの年末の中では地味な印象の冬至。年度によっては休日の関係で冬至の日だけど冬至じゃなくクリスマスパーティーをした、なんて事もあるかもしれません。冬至って一年で一番日が短い日だって言うのは知っているけれど、お祝いごとじゃないし、カレンダーにも何日か書いてないから忘れてた……などなど。

華々しさとしても認知度としてもクリスマスに負けているイメージがあります。が、しかし。冬至はかつて世界的に大切な日として認識されていた日で、クリスマスの元となった日でもあります。日本や中国では運気が向上し始めるきっかけになるとも考えられてたんです。冬至についてや、なぜ柚子湯に入ったりかぼちゃを食べるのか見直してみませんか?

冬至は何の日? なぜ様々な行事があるの?

冬至とは

冬至は北半球で一年のうち太陽の位置が最も低くなり、太陽の出ている時間も一番短くなる日のこと。
天文学上は太陽黄経が270度となる瞬間のみを指すと定義されているため、冬至の瞬間に至る日全体は「冬至日(とうじつび)」と呼び分けられています。また特定の一日だけではなく期間を指すこともあり、二十四節気における冬至~その次の節句になる小寒の前日までの約14日間を通して冬至と表現する場合もあります。紛らわしいですが、日常生活で使う分には冬至=一年で最も太陽の位置が低く、日が短い日と考えておけば大丈夫です。

近いところの冬至はいつかというと…
2018年:12月22日
2019年:12月22日
2020年:12月21日
2021年:12月22日
2022年:12月22日
となっています。ちなみに1955年までは12月の23日が冬至の日もありましたが、2000年からは200年間以上12月21日か12月22日のどちらかとなっています。生きている間に23日に冬至をすることはなさそうですね。

二十四節気について

冬至はかつて日本で季節を分かりやすくするために使われていた「二十四節気」の一つでもあり、太陽の力が弱まっていく期間から、再び太陽が力を取り戻していく期間への節目として、古代から冬至は特別な日と捉えられてきました。

二十四節気は古代中国の戦国時代に、季節を春夏秋冬に4等区分するために考案された暦の仲間のようなものです。当時は月の満ち欠けの周期を基準に作られた太陰暦が利用されていましたが、これで一年を計測すると地球の公転周期とズレが生じてしまいます。純粋な太陰暦の場合は三年経つと約1ヶ月の差が生じ、8年経つと四季が一つ変わってしまいます。1月1日が夏になることもあるということ。太陽歴で生活し、何月を目安に「種蒔き時期だな」とか「衣替えしよう」とか考えている私達からすると不便ですよね。きっと昔の人も不便だったのでしょう。

そこで二十四節気の登場。
二十四節気は「黄道」と呼ばれる太陽が移動する道を、文字通り24等分したもの。黄道を太陽が最も低い冬至・最も高い夏至の間で等分し、その中間に位置する春分と秋分を割り出します。この二至二分と呼ばれる冬至・夏至・春分・秋分は現在でも馴染みのある言葉ですね。二至二分の中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)を入れて八節となり、節から節の間をそれぞれ三等分したものが二十四節気となります。そのほか二十四節気を更に3つに分けた七十二候、節分や八十八夜などが含まれる雑節というものもありますよ。

黄道イメージ

二十四節気は太陽の位置(動き)を元にしているため、季節変化の指標としてはかなり正確。太陰暦もしくは太陰太陽暦を使っていた人達からすると、季節を認識するためのもう一つの暦だったと言っても過言ではないかもしれません。特に季節や天候との関わりが深い農業の目安として、日本でも暦と合わせて重要視されていました。農作物の種をまくと良いと言われる4月20頃の“穀雨(こくう)”というもの、二十四節気の一つですね。

冬至は一陽来復で運気がアップ?

冬至とセットで紹介される事が多い一陽来復(いちようらいふく)という言葉。東京都新宿区の穴八幡宮さんで冬至に行われる「冬至祭」から春分までの間に授与される、一陽来復のお札・お守りも有名ですね。運気がアップするなら“一陽来福”なのではないかと思いがちですが、ここでの“復”という字は回復の復で、元の状態に戻ってくるという意味。

冬至は一年で最も太陽が低く、天にある時間の少ない日。昔の人の感覚からすると、太陽の力が最も弱っている日とも言えます。そう言うと何となく縁起が悪そうに聞こえますが、見方を変えれば「ここを境に太陽が再び強くなる日」でもあります。このため陽が戻ってきて昼間の時間が伸びていく=陰から陽に変わる日として、冬至が一陽来復とされたと言われています。

ちなみに一陽来復という言葉は、古代中国の占いに関わる書物『易経』の六十四卦の一つ“復の卦”が元と言われています。簡単に言うと“復の卦”は、陽の気が再び帰ってくるので良い結果が出るようになるよというもの。陽来復という言葉は「悪いことが続いたあと、良い方向へ物事が向かう」という意味でも使われます。だから冬至は運気が高まり始める日と言われているんですね。

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日本以外にも冬至イベントはある

二十四節気発祥の中国では日本と同じく冬至が重要視されています。現在は春分点を基準とする「定気法」と呼ばれる方法で二十四節気が決められていますが、古くは冬至点を基準にして節気と中気を入れるという方法が使われていました。二十四節気の起点でもあり、太陽の力が復活していく日(力が強まっていく日)とも考えられることから、3000年位前には冬至が1年の始まりとされていたんですよ。一陽来復も辞書で調べると“新年が来ること”という意味が書かれていますね。現在は冬至をお正月とはしていませんが「冬至節」は祖霊や神様を祀って家族や親類と宴を楽しむ習慣があり、旧正月(春節)に次ぐ大きなイベントとしている地域も少なくありません。

二十四節気は中国や日本など東アジアで使われている考え方ですが、一年のうちで日の出から日没までの時間が最も短い冬至は北半球中にあります。ヨーロッパなどでも同じく太陽が再び力強く輝くようになることから、冬至は特別な日と考えられ、キリスト教以前から各地で様々な儀式やイベントが行われていました。ちなみに冬至は英語で“winter solstice”と言い、solsticeは至点を意味しています。夏は“summer solstice”ですね。

アジア圏以外の有名な冬至としては、有名な所ではイラン他ペルシア文化圏で行われているヤルダーもしくはシャベヤルダーと呼ばれる冬至のお祝いがあります。ヤルダーという言葉自体も誕生を意味しており、日が長くなっていくはじめの日である冬至を「太陽の誕生の日」と考えていたのだそう。また各家庭では一年で一番長い夜を、家族団欒の時間を持って楽しく過ごす風習もあるそう。おじいちゃんおばちゃんに会いに行ったりもするようですから、日本で言う大晦日の感覚に近いのかも知れません。イランでは“冬至の夜にスイカを食べると、冬中風邪などの病気にかからずに元気に過ごせる”と言われているそうですよ。

北欧でもかつてはユール(yule)と呼ばれる冬至のお祭りがありました。現在はクリスマスと一緒になっていますが、こちらも古代ヨーロッパのゲルマン民族が行っていた冬至祭が起原。同じく太陽が再び強い力を持つようになる冬至が重要な日であると考えられており、ご馳走を食べたり盛大なお祭りを行うことで太陽の復活を祝福していました。農耕神や豊穣神に感謝を捧げる収穫祭(豊穣祭)の意味合いもあったようで、一日だけではなく何日も続く宴会が行われていた時期もあるそう。

現在でも「ユール・ボード(Julbord)」と呼ばれるご馳走が並べられたバイキング形式のお食事など、ユールの名残は残っています。クリスマスケーキを代表する一つである丸太型のケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」も、ユール・ログと呼ばれるユールの時に燃やされる巨体な薪がモデルですよ。

クリスマスイメージ

クリスマスも冬至が由来

日本でもすっかり定着し、お正月と並んで年末年始の大イベントとなっているクリスマス。クリスマスはサンタさんがプレゼントを持ってきてくれる日…ではなく、イエス・キリストの誕生(降誕)をお祝いする日だということは知られていますが、実はキリストの誕生日というわけではありません。キリストの誕生日については明確な記載がなく、5月20日とか4月18日とか10月1日だとか色々な説があります。要は誰も知らないので、好き勝手言っているような状態。というのも当時は王侯貴族でも無い限り、誕生日という日が記録されることはなかったのだとか。クリスマスはあくまでもイエス・キリストの「降誕を記念する祭日」なんですね。

ではなぜ12月25日がChristmas=イエス・キリスト降誕祭に定められたのかというと、ローマ暦上の“冬至の日”だったことと関わりがあります。象徴的な意味合いとしては、冬至=太陽の高さが一年中で最も低く日照時間が短い日というのが重要だったという説もあります。冬至を起点にして日が長くなっていくので、暗さが際立つ中で徐々に光が増える=世を照らす光であるキリストの降誕祭として相応しいと考えられたんだとか。

またヤルダーの元となったゾロアスター教などでも冬至は特別な日とされていましたし、古代ローマでもローマ神話の太陽神ソルの祝祭日・ミトラ教の太陽神ミトラスの祝祭日として大切にされていました。ケルト民族やゲルマン民族にも冬至祭の風習があったため、キリスト教から見て異教徒だった人たちにも馴染みやすいように、クリスマスは当時の冬至の日(12月25日)に行われるようになったと考えられています。政治的理由とか大人の事情のニオイがしますね。ちなみにクリスマスツリーやリースなども、キリスト教発祥ではなくそれ以前の風習の影響を受けています。

冬至に柚子湯や、かぼちゃ・小豆が使われる理由

冬至といえば柚子湯とかぼちゃの煮物が有名なのではないでしょうか。それに次いでかぼちゃの煮物に小豆を入れたり、小豆粥を食べたりと、小豆を使う地域も少なくありません。「風邪をひかない」とざっくりした理由は聞き覚えがありますが、それらの食材が選ばれた理由についてご紹介します。

ゆず湯

冬至には冬至風呂とも言われる、柚子をお風呂に浮かべたゆず湯に入るのが定番。お風呂ものとしては端午の節句(5月5日)の菖蒲湯と同じか、それ以上に知名度は高いのではないでしょうか。冬至にゆず湯に入ると、風邪を引かない・病気にならないという言い伝えもあります。

冬至風呂を作るのに柚子が選ばれた理由としては、柚子(ユズ)の音が“融通”に繋がる・冬至という言葉と“湯治”をかけて縁起が良いとされていたと紹介されています。柚子湯に入る風習が定着したのは江戸時代頃ですから、江戸っ子の大好きな言葉遊びの験担ぎ感がありますね。また冬至は一陽来復=運気が上昇し始める時期であるため、その前に心身を綺麗にして準備をしようという意味合いもあったようです。罪や穢れを落とすための、禊(みそぎ)と呼ばれる神道の水浴儀式の簡易版のような感じですね。

江戸時代は現在のようにどの家にも大抵お風呂があって毎日入浴することが出来たわけではないので、大晦日の年の湯と同じく大切な日を迎えるために身を清めようというわけです。当時は香りの強いものが邪気を払うという考え方もありましたから、柚子の強い香りで厄を落とす・邪気を取り除くという考えもあったのでしょう。そのほか柚子の木は寿命が長く病気に強いため恩恵に与ろうとして、実るまでに時間がかかる=苦労が報われますようにという願掛けだったという説もあります。

冬場は柚子が旬なので手に入りやすく、香りが強いうえ語呂や植物自体も良いとトータルで評価されたように感じられますね。現代でもお湯だけよりも血行が良くなる・湯冷めをしないなど柚子湯は冬場のお風呂として適していると考えられています。柚子湯の作り方は丸ごとから細かくカットしたものを入れる・絞り汁を入れるなど人それぞれですが、切ったり絞ったりした方が香りは出やすくなります。ただし柚子湯は肌に刺激があるので、不安な方は丸ごと浮かべたほうが刺激は少ないです。入浴中に「一陽来復(いちようらいふく)」と唱えると良いという伝承もありますよ。

かぼちゃと小豆

「冬至かぼちゃ」という言葉もあるほど、冬至の食べ物として各地で親しまれているカボチャ。冬至にカボチャが食べられるようになったのは、運盛りと言われる「ん」の付く食べ物を食べると運気がアップするという、こちらも語呂合わせ的な理由なのだそう。昔カボチャは南瓜(なんきん)と呼ばれていましたから、間違いなく運盛り食材として認定されるでしょう。

また現在のようなハウス栽培や保存技術もない時代、冬至の時期までしっかり保存できることもポイントが高かったのでしょう。栄養面でみてもビタミンやβカロテンがしっかりと含まれているカボチャは冬至に最適だったと考えられています。「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」や「中風にならない」というもの、冬場に不足しがちな栄養を補給できるという面が大きいのではないでしょうか。中風(脳血管障害)はさておき、βカロテン(ビタミンA)などの補給から風邪予防としては一役買ってくれそうですね。

小豆(冬至粥)

地域によってはカボチャだけではなく、小豆と組み合わせて「いとこ煮」にして食べるというところも少なくありません。お米に小豆を入れて煮込んだ小豆粥は別名「冬至粥」とも呼ばれており、カボチャと並んで冬至に食べる食材としてはポピュラーな食材と言える存在。小豆は「ん」のつく運盛りの食べ物ではないのに何故と思いますが、古くは小豆の持つ赤色は邪気を寄せ付けない効果を持つ色と考えられていました。小正月(1月15日)に小豆粥を食べたり、慶時にお赤飯を食べるのも同じく邪気払いのため。運気を高めるカボチャと、邪気を払ってくれる小豆がセットで食べられる「いとこ煮」は冬至に最適な組み合わせと言えるかもしれません。

冬至かぼちゃイメージ

カボチャ以外にもある冬至の行事食

「ん」のつく食べ物

「ん」が付く運盛りの食べ物は、かぼちゃ以外にもいくつかあります。特に「ん」が2つ以上付く

  • なんきん(カボチャ)
  • れんこん
  • だいこん
  • にんじん
  • ぎんなん
  • きんかん
  • うんどん(うどん)

は冬至の七種とも呼ばれ、冬至に食べると病気にならない・運気が高まると言われています。カボチャがあまり好きでは無い方はこちらの食材を食べるようにしてみても良いかもしれませんね。

「と」の付く食べ物

こちらは冬至の「と」とかけて

  • 豆腐
  • 唐辛子
  • どじょう(泥鰌鍋)

など「と」の付く食べ物を食べると健康になる、という伝承があるため。言葉遊びのようなものなので信憑性はイマイチですが、お豆腐を湯豆腐やお鍋にして食べると考えると体を温めてくれそうではありますね。

こんにゃく

こんにゃくは「体の砂払い」や「胃のほうき」などとも称され、胃腸を綺麗にしてくれる食材と考えられていました。このため大掃除などで吸い込んでしまった汚れを取り除いて、体内を綺麗にしてくれる食材として選ばれているよう。また外側を清める柚子湯に対して、内側を綺麗にしてくれるので邪気払いにも繋がると考えられたのかも知れませんね。盛りではありませんが「ん」も付いているので、嫌なことが多かったなと感じている方は食べてみてください。暴飲暴食に走りがちな年末のケアにも役立ってくれるかも知れません。

参考サイト:
イラン古来の冬至の儀式「ヤルダー」/冬至を祝う世界の祭~太陽復活の祝いとクリスマスの関係 

冬至は日本、もしくは中国文化の広まった東アジア圏の行事だと思っていましたが、世界的なイベントなんですね。日が短いので良い印象のある日ではありませんが、逆転の発想で「この日を境に良くなるのだ」という前向きな考え方も素晴らしいのではないでしょうか。世界的に見ると冬至とクリスマスが合体してしまっている地域も多い中、冬至という日をきちんと区分している国に生まれたので柚子湯に入って一陽来復と唱えましょう。運気がアップしたら儲けものですが、季節なり自分の中でなり区切りを付けるようにすると頑張れるものもあるような気がします。

ただ、調べてもなぜ冬至に「ん」が付く物を食べると運を呼び込むのかについてはハッキリ分かりませんでした。運とかけてか、冬至は陰が終わる一陽来復の日=いろは最後の「ん」とかけたか、その辺な気がします。運気は運気でも金運に良いという節もありますが、こちらは黄色いからなのか、なんきんの“きん”が金に繋がるからなのか。ここが何とも微妙で少しモヤッとしてます。風習ってそういうの多いですけどね。