七夕飾りの種類と意味・行事食
-使うのは笹? 竹? そうめんを食べる理由とは?
七夕には短冊に願い事を書いた経験のある方、多いのではないでしょうか。幼稚園や保育園などで工作を兼ねて飾り物を作るという所も少なくありませんし、大人でも笹や竹の緑色+色とりどりの飾り物が並ぶと何となく嬉しい気持ちになりますよね。前回の「七夕の由来や織姫・彦星の物語」に続いて、今回は七夕に使われる飾り物とその意味・七夕の食べ物についてご紹介します。
目次
七夕飾りの種類と意味とは?
笹の葉
旧暦7月7日の七夕は別名“笹の節句”と呼ばれるように、笹が使われる年中行事です。童謡『たなばたさま』も笹の葉という言葉が歌い出しになっていますね。中国や韓国などでも日本の七夕と起原を同じくする行事は行なわれていますが、笹に飾り物や短冊を付けるという風習は日本独自のもの。
七夕に笹を飾る風習は、夏越の大祓に設置される茅の輪の両脇の笹竹が起原と考えられています。平安時代頃には七夕の起原とされる“乞巧奠”が日本式に変化し、供物を捧げる祭壇の周りには笹竹が立てられていたと考えられます。神聖な方への捧げ物をするための、一種の結界のようなものでしょう。そこから派生して、江戸時代頃に笹竹に短冊や様々な飾り物を付けるという形が出来上がりました。
笹や竹は古くから日本で神聖な力を持つ植物と信じられてきた存在。その理由としても笹も竹も真っ直ぐに天に向かって伸びること・生命力が強く冬でも枯れない(緑を保っている)ことが大きかったと考えられます。笹や竹は神の依代・穢れを肩代わりしてくれる依代にも用いていたと伝えられています。殺菌・防腐作用をもつ植物でもありますから、現実的な意味でも邪気ならぬ病気避けとして活躍してくれたことも、病=悪疫によるものと考えていた古代の人々にとっては神聖に思えたのではないでしょうか。
こうした事情から笹竹は、邪気を払う神聖な力を持つ植物と見做されていました。また天に向かって伸び、葉がこすれ合う音がすることから、天界にいる神様やご先祖様に願いを届ける・神様を呼ぶという考え方もあったそう。笹の葉サラサラは風流と言うだけではなく、鯉のぼりの矢車・神社の鐘(鈴)などと同じく“音”によって神様に気付いてもらおうという願いも込められていると言えますね。
笹と竹の違いは? 実はほぼ同じ?
ニュアンスで呼び分けているものの、きちんと見分けられるかというと微妙な笹と竹。
一般的には大きい(太い)ものが竹・小さい(細い)ものが笹という風に区別されていますが、実はこちらも正確ではありません。実は高さ1~2m程度のオカメザサという小型の竹類があったり、大きくものでは8m近くまで背が伸びるメダケと呼ばれる笹類も存在します。和名も笹なのに“タケ”が付いていたり、竹なのに“ササ”が付いていたりと、ものすごく紛らわしいですね。
名前の付け方の問題なのでは……と思いますが、実は植物としての特徴できちんと分類されています。笹と竹の見極め方は、茎と葉の違い。竹の葉は葉脈が格子状にっているのに対して、笹の葉は葉脈が平行に走っています。葉に真っ直ぐな筋だけがあるものが笹です。また竹は成長すると茎の部分の皮(稈鞘)が落ちるのでツルツルしていますが、笹は成長しても稈鞘が落ちきらず部分的にくっついていることも特徴とされています。
笹と竹は同じイネ科タケ亜科に分類されてはいますが、こうした違いから植物として笹と竹は別物とされています。このため七夕には間違って竹を使わないようにという見解もありますが、実のところ笹竹のどちらを使っても問題はないと考えられています。というのも、古代は笹も竹も同じく“神聖な植物”と考えられていたため。笹飾りの起原とされる茅の輪の周辺に置かれる植物も、神社によって竹が使われるところと、笹が使われるところがありますね。
七夕は“笹の節句”ではなく“竹の節句”と呼ばれることもあり、古くは笹ではなく竹が使われていた=竹飾りが正式であるという見解もあります。百科事典マイペディアでは“五色の短冊に歌や字を書いて七夕竹に結び~”と説明されています。日本で大切にされている植物としても松竹梅がありますから、竹が使われた可能性は高いと言えますね。ちなみに竹が笹に変わった理由には童謡『たなばたさま』の普及であるとか、室内に飾るには小型な笹の方が適していたとか諸説あります。古い時代にはそこまで笹と竹のがはっきり区分されていなかった可能性もあります。
現在も商店街やショッピングモールの七夕飾りとしては竹が多く使われていますから「七夕は笹飾りにしないといけない」というルールはありません。家の中やお庭ではコンパクトな笹・大きな会場では竹など使用する場所や、その地域で入手のしやすさなどで選んで問題ないでしょう。生の植物ではなくプラスチック製の笹竹も珍しくありませんから、形式に拘るよりも、雰囲気を楽しめたり、神様に感謝と敬意を持ってお願い事を伝えるという精神を大事にする事をお勧めしたいです。
短冊・吹き流し
笹と並んで七夕行事に欠かせないものが、短冊と言えます。
短冊(細長く切られた紙)に願い事を書くという風習は江戸時代から始められたものですが、それ以前から短冊の元は存在していました。中国の“乞巧奠”では七夕に歌を読むことは無かったようですが、日本では平安時代頃から梶(かじ)の葉に和歌を書いて織姫と彦星をお祀りするという風習がありました。
梶も笹竹と同様に神聖な木であると考えられていたこと・葉の裏に細かい毛が生えていて墨が乗りやすかったことから選ばれたそう。そして何時しか「天の川のしずく」と信じられていたサトイモの葉に溜まった夜露を集めて墨をすり、それで梶の葉に歌を書いて吊るすと字が上達するという伝承が生まれます。
江戸時代に入り庶民も七夕行事を取り入れるようになると、字が上手くなるという伝承と、元々の乞巧奠で行なわれていた“上達を願う”ということが混同され、短冊に願い事を書くという形へと変化していったと考えられています。江戸時代の前半は習い事の上達を願って短冊を書いていたようですが、時代と共に“お願い事を書く”という認識になったのでしょう。
そして短冊と共に笹飾りの代表格と言えるのが、吹き流し。吹き流しと言われるとパッと思いつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、てるてる坊主やクラゲの脚を連想させるような形状のものです。地域や商店街単位の「七夕まつり」の場合は様々な色をした、大型の吹き流しが大量に飾り付けられている事も珍しくはありませんよね。
吹き流しの起原は、古代中国で行なわれていた“乞巧奠”にまで遡ります。乞巧奠は織物の名手である織姫にあやかって織物や縫い物が上達するように願う儀式でしたが、この時にお供え物として五色の糸が捧げられていたと伝えられています。この五色の糸が日本に伝わり、時代と共に形を変え、紙やビニールテープを使った現在の吹き流しの形となりました。このため吹き流しの意味は「織姫の織り糸」であり、紡績・裁縫上達への願いが込められた七夕の飾り物とされています。
短冊や吹き流しが五色の理由
近年は見栄えや親しみやすさの関係もあり様々なお色の飾り物が使われていますが、伝統的な形としてはお願い事を書く短冊も吹き流しも「赤・青(緑)・黄・白・黒(紫)」の五色が使われています。この五色については諸説ありますが、古代中国の陰陽五行説に沿った色が選ばれていると考えられます。
陰陽五行説では
- 青=木行
- 赤=火行
- 黄=土行
- 白=金行
- 黒=水行
となり、この五色を全て取り入れることで陰陽五行における森羅万象を表し、魔よけの意味合いで用いられているという見解が主流となっています。そのほか鯉のぼりの吹き流しと同様に、五常の心(仁・義・礼・智・信)を表しているなどの説もありますよ。ちなみに黒を使わずに紫で代用されることが多いのは、黒は縁起が悪いという考え方があるためだそうです。
そのほか短冊については、色に対応する願い事を書くと良いという見解もあります。こちらは陰陽五行や風水というよりは、五常の心(仁・義・礼・智・信)との対応で
- 青=仁:人としての成長や思いやり
- 赤=礼:親や先祖に対する感謝
- 黄=信:知人や友人などとの信頼
- 白=義:正義・義務をしっかり行う
- 黒=智:技術・学業の向上
とされるケースが多いようです。自分の学業やスキルアップであれば黒(紫)の短冊に、友人と誠実で忌憚ない付き合いを望むならば黄色という考え方ですね。五常とは別に風水の考え方を取り込んで、仕事運を上げたいなら青・金運を上げたいなら黄色の短冊に……という説もあります。こだわりすぎるのは問題ですが、願いを込めたい時や、みんなで短冊を書く時の小ネタとして知っていると楽しいかもしれませんね。
その他の七夕飾りの種類・意味
紙衣(神衣)
文字通り紙で作った人形、もしくは着物を模した飾り物です。織姫の逸話にちなんで裁縫が上手になれるように、そこから派生して着る物に困らなくて良いようにという願いが込められています。
また紙衣には穢れ=自分が犯してしまった罪や過ち・自分に降りかかるはずの厄災などを身代わりとして引き受けてもらう“形代(かたしろ)”としての役割もあります。七夕飾りを付ける笹・竹の一番先端に吊るすことが多いのも、形代に身代わりになって貰うことで子どもが健康に育つようにという願いが込められているからだとか。
巾着(財布)
巾着は現在では小物入れというイメージがありますが、古くはお金を入れるお財布として利用されていたもの。このため巾着を模した飾り物は、金運アップや商売繁盛・蓄財など“お金”に関わる運気アップを願ってかけられています。折り紙やフェルトなどで飾る用のものを作る事が多いですが、本物の巾着やお財布を飾る場合もあるようです。
網飾り(投網)
網飾りは魚を捕る時に使う漁網をイメージした飾りです。そのまま大漁祈願としても使われていますし、幸せを網で絡め取ることにも通じるとして漁業とは縁のない地域でも使われています。
折鶴(千羽鶴)
古くから鶴は「長寿を象徴する吉祥の鳥」として日本で大切にされてきた鳥。七夕飾りに折り鶴をかけるのも、長寿や健康を祈る意味合いが強いと言われています。また鶴は夫婦仲がよく一生連れ添う“夫婦鶴”として夫婦円満の象徴にも使われますし、鳴き声が共鳴して遠方まで届くことから天に声を届けるという伝承もあります。離れ離れになってもお互いを思い続ける織姫と彦星のエピソードがあり、お願い事を届けてもらいたい七夕にもピッタリな鳥ですね。
大きなイベントでは千羽鶴が飾られることもありますが、七夕飾りは一羽の折り鶴でも問題ありません。家族の中で最高齢の方の年齢分折ると良いなどという説もありますが、基本的には好きな数・飾りやすいサイズで折れば良いでしょう。
屑籠(くずかご)
飾り物に使われるのが不思議に思われる屑籠ですが、元々は屑籠を作って飾ることが主体ではなく、七夕飾りを作る時に出た紙くず・端布などを入れるものでした。物を粗末にしない心を大切にしようという意味で、倹約や整理整頓などの心を養う願いも込められています。
提灯(ちょうちん)
昔は電気のかわりに夜の闇を照らしてくれる道具だった提灯。心を明るく照らしてくれますように、周りを明るく照らすような存在になれますようにと言う願いが込められています。
星飾り
七夕といえばお星様。こと座のベガが織姫・わし座のアルタイルが彦星(牽牛)とされているように、七夕の主役と言える二人は星でもあります。その星を模した飾りを笹竹に付けるのは、星=織姫と彦星にみんなの願いが届くように、という心からと言われています。
輪飾り
縦長の紙を丸め、繋げていく輪飾り。七夕に限らず、幼稚園や小学校などの行事で一度は作ったことのある方も多いのではないでしょうか。輪飾りが七夕などの行事に使われるのは、お子さんでも簡単に作れて賑々しさを出せることに加えて、人の輪・絆が繋がることに通じるためであるとも言われています。七夕の場合であれば、みんなの夢が繋がりますように、叶いますように…というところでしょうか。
菱飾り
輪ではなく菱形を連ねた形をしている、菱飾りは天の川をイメージした飾り。天の川が綺麗に見えるほど晴れて織姫と彦星が逢えますように、みんなの願い事が二人に届きますようにという願いが込められています。ただし場所によっては菱飾りを使わず、輪飾りに天の川のイメージをもたせる場合もあるようです。
織姫・彦星
織姫と彦星が笹飾りとして使われるのは二人のようにずっと想い続ける永遠の愛が続きますように、もしくはそんな相手と出会えますようにという願いが込められているそう。といっても、クリスマスのサンタクロースのように、シンボルキャラクターとしての側面も強いと考えられます。
七夕飾りはいつからいつまで飾る?
お正月飾りなどは前日の飾り付けを「一夜飾り」と言って嫌われますが、七夕飾りは7月6日の夜に飾り付けをして外に出すのが一般的となっています。これは古く行なわれていた“棚機の神事”の流れが元になっているためと言われていますが、笹飾りの多くが紙で作られていて雨に弱いという関係もありそうですね。幼稚園や学校など大人数で七夕をするところであれば、一週間以上前から飾っているところもあります。飾り始めについては厳密なルールはありませんので、用意できるタイミングで設置して問題ありません。
七夕行事の由来の一つとも考えられている“棚機の神事”では、7月7日の夕方頃に笹やお供え物を海や川に流して禊を行うとされていたため、七夕飾りも7日の夜には外してしまいます。7月7日に星を見て思いを馳せる・願いをかけるというイメージが有る七夕ですが、祭事が行なわれるのは6日~7日にかけての夜中なのだとか。飾り付け時期についてはあまり厳格ではありませんが、7日に七夕飾りを片付けないと願いが届かないという伝承もあるようですよ。
七夕の笹・飾り物である紙衣(神衣)は依代として私達の穢れを請け負ってくれると考えられていたこともあり、古くは7月7日の夕方には「七夕送り」が行なわれていました。これは七夕飾りを水に流すことで清め、神様の元へ届けるといういうもの。富山県尾山地区の「七夕流し」など地域によって現在でも七夕送りの風習が残っている地域もありますが、現在は環境保護の問題から川や海にゴミを流すのをNGとしている自治体がほとんど。地域イベントとして七夕送りを行っているところは、下流でスタッフさんが回収してくれているそうです。そうしたイベントを行っていない地域の方であれば、普通にゴミとして回収に出すか、お寺や神社でお焚き上げしてもらいましょう。
七夕の食べ物とは?
七夕そうめん
地域によって馴染みのない方もいらっしゃるでしょうが、七夕の行事食としては「そうめん(素麺)」が挙げられます。一時期は仙台など一部地域でしか食べられていませんでしたが、最近はネットの普及や、七夕そうめんの可愛らしい見た目がインスタ映えするなどの理由から全国的に作られるようになっています。
新しい文化のようにも感じがちな“七夕そうめん”ですが、実は昔から七夕の行事食として食されてきた歴史があります。と言っても当時は現在のおそうめんではなく「索餅(さくへい)」と呼ばれる中国発祥のお菓子が使われていました。索餅は小麦粉と餅粉を水で練って、縄のようによって揚げたものとされています。
7月7日に索餅を食べるようになったのは、古代中国の故事が元。話としては、7月7日に死んでしまった帝の子どもが霊鬼神となって熱病を流行らせたが、その子の好物であった索餅を供えて祀ると止んだというものだそう。その後も健康と無病息災を祈って7月7日に索餅を食べていたことが、時代と共に「7月7日に索餅を食べると一年間無病息災ですごせる」ということが信じられるようになりました。
日本でも奈良時代頃には索餅とその伝説が伝わっており、平安時代に記された『延喜式』では7月7日に宮中で行なわれた七タの儀式に索餅が使われていたことが記されています。これが時代と共にそうめんへと変化して現在に至るわけですが、索餅がそうめんへと変化した理由についてははっきりと分かっておらず、各地で様々な説が唱えられています。
よく紹介されるものとしては、白く細長いそうめんを“糸”に見立てて機織り・裁縫上手の織姫にあやかろうとした、そうめんを天の川に見立てたなどの説がありますね。もっとシンプルに索餅を美味しく食べやすくしてそうめんが作られた(そうめんのルーツは索餅だ)という見解や、夏の暑い時期に食べやすいものがチョイスされたなどの説もあります。由来ははっきりしていませんが、涼しげで、七夕にちなんだ飾り付けをしたそうめんを食べる…なかなか乙なのではないでしょうか。
最近はちらし寿司も定番に…
歴史があると言われている七夕そうめんに対して、最近になって七夕の食べ物として多く使われるようになったのが「ちらし寿司」。寿司は「寿(ことぶき)を司る(つかさどる)」という漢字が当てられているように、宴席ではよく登場するお料理でもありますね。そういった風習はなかったのですが、見た目の華やかさもあり七夕だけではなくひな祭りやこどもの日などの節句、節分などのイベント事に広く使われるようになっています。
ちらし寿司そのものは縁起物・縁起料理というわけではありませんが、お正月料理の煮物と同じく縁起物を沢山使うことで願いを込めるという一面もあります。厄除けや長寿の縁起物とされるエビや、見通しの効くレンコン・豆など縁起物を選んで入れてみても良いでしょう。ハムや人参などカラフルな食材を星型などに型抜きしらり、錦糸卵を乗せると“七夕”の演出にもなりますよ。
地方により、七夕も色々
青森県では“ねぶた”祭り
七夕行事というわけではありませんが、青森県で盛大に行われる青森ねぶた・弘前ねぷた祭りとも七夕は関係しています。七夕やお盆(精霊送り)など様々な文化や風習が組み合わさり、形成された行事であると考えられていますよ。諸説ありますが、ねぶたの語源の一つとしても七夕(たなばた)が変化したものという説があります。
長野県松本市では七夕人形を吊るす
現在は行なわれていない家も多いようですが、長野県の松本地域を中心に、紙や木で作った七夕人形を軒先に吊るすという風習があります。こちらは元々厄払いをした着物を子どもに着せるという季節行事だったそうですが、時代と共に人形に着物を着せて飾るように変化したと言われています。お人形の近くには御神酒や団子・饅頭なども供えられるそうです。子どもの厄除けという意味合いもあり、また古くは松本地方だけではなく全国的に行なわれていたという見解もありますよ。
北海道の七夕はロウソクとお菓子
北海道でも一部地域に限られたはなしではありますが、北海道には“ロウソクもらい”と呼ばれる不思議な七夕の行事があります。これは七夕の夜に子ども達が何人かでグループを作り、提灯もしくは懐中電灯を持って「ローソク出せ出せ、出さないとかっちゃくぞ♪」など歌いながら、近所のお家を訪ねて回るというもの。各お家ではロウソクとお菓子を用意しており、子どもが来たらそれをあげるという…ハロウィンに近い印象のある行事ですね。
ロウソクをもらうために子ども達が歌う囃子唄は地域によって異なり、「竹に短冊七夕祭り」や「今年豊年七夕祭り」など七夕に関連する言葉があるものもあれば、七夕関係の言葉はなく「ロウソク出せ出せ出せよ、出さねばかっちゃくぞ、おまけに喰っつくぞ」などロウソクを寄越せ押しのものまで様々。ちなみに“かっちゃく”というのは北海道の方言で、ひっかくという意味です。
なぜ北海道でこんな独特の風習が生まれたのかは分かっていませんが、青森県の青森ねぶた・弘前ねぷたが関係しているのではないかという説があるそう。むかしねぶたの照明としてはロウソクを使っていたため、家々を廻ってロウソクを貰ってねぶたを出していました。古くは道南でもねぶたが引かれていた関係で北海道にも「ロウソクを貰う」ことが定着し、時間経過や全道へと広まっていく中でロウソクを貰うことが主に、子どもが喜ぶようにお菓子をあげるという形に変化していったのではないかと言われています。
参考サイト:七夕そうめん/七夕の笹飾りの由来は?七夕飾りと五色の短冊の意味/七夕の飾り付けをするのは竹?笹?違いって何?そして由来も紹介
「ロウロク出せ」はしたことの無い筆者です。Wikipediaでは開催地域の代表格として挙げられている札幌出身ですけど、聞いた限り友達もみんな未体験者でした。両親の代(※道央地域)ではまだ行なわれていたそうですが、ロウソク出せというのは定番の台詞のようなもので、実際にはロウソクは無しでお菓子だけをゲットして帰ってきたそうな。もう本末転倒というか、北海道のハロウィンだよねと思う次第です。
北海道ネタはさておき、七夕と言えば短冊とお願い事。お願い事を書く時は「~できますように」ではなく「~になる(する)」と断言する形で書いた方が良いのだとか。これは神様への願掛けと言うよりも、自分の意識改革的な意味合いのお話ですが、成就率というか達成率が高まると言われています。ちょっと恥ずかしいですが、成し遂げたいことがある場合は試してみても良いかもしれません。私は金運アップ祈願の巾着を…!(笑)
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