お食い初め(百日祝い)の意味・やり方とは?
歯固めの由来や歴史、食べ順も紹介

お食い初め(百日祝い)の意味・やり方とは?<br />歯固めの由来や歴史、食べ順も紹介

赤ちゃんが母乳以外のものを口にするタイミングが近づくと、考えたいのが「お食い初め」と呼ばれる行事。百日祝いとも呼ばれるように全国的には生後100日過ぎを目安に行われている儀式で、子どもが食べ物に困らず元気に成長してくれることを祈って行われます。ただ尾頭付きの鯛などお祝いのお膳を揃えるイメージはあっても、祝い膳を食べさせる順番・歯固めをするタイミングなどと言われると不安になる方が多いのではないでしょうか。

実は「お食い初め」のお祝いは地域や家庭によっても異なり、正式とされる作法も書籍やサイトによって異なっています。全国的にポピュラーな方法をご紹介すると共に、それぞれの意味や由来・別バージョンなども合わせて紹介していきます。気軽に楽しく「お食い初め」のお祝いをして頂くヒントになれば幸いです。

お食い初め/百日祝い/歯固め/箸揃えとは

お食い初め(おくいぞめ)とは

お食い初めは赤ちゃんの成長をお祝いする日本の伝統行事の一つ。
乳歯が生え始めるくらいまで赤ちゃんが元気に成長してくれたことに感謝しつつ、これからの健やかな成長と「子どもが一生食べ物に困りませんように」という願いを込めて行われてきました。

お食い初めという言葉は“初めて食べ物を口にする”と捉えられますが、お食い初めを行う時期としては生後100日程度を目安としている地域が多くなっています。生後3ヶ月~4ヶ月くらいの赤ちゃんと言えば、まだ離乳食を食べさせ始めるにも早い時期ですよね。たまに生後200日という地域もありますが、それでも離乳食中期に入ったくらいですから普通の食事を食べさせるには早すぎます。

こうした離乳食完了期よりもずっと早い段階でお食い初めが行われているのは、何も昔の日本人が早熟だったと言う訳ではありません。お食い初めにするのは“ご馳走を食べる真似をさせる”だけで、食べ物は口元に近づけるためだけです。実際にはまだ食べられないものを用意して行われることからも、お食い初めが「一生食べ物に困りませんように」という願いが込められた儀式であるという事がうかがえますね。

お食い初めの別名と意味

赤ちゃんの成長をお祝いして祝い膳を食べさせる真似をする儀式は、お食い初め以外にも様々な呼び名で呼ばれています。代表的な呼び名と意味を簡単にご紹介します。

百日祝い(ももかいわい)

お食い初めの儀式を行う時期が概ね100日頃であることから、赤ちゃんの生後100日をお祝いするという意味で百日祝いとも呼ばれます。赤ちゃんにごちそうを食べさせる(真似をする)儀式についてをお食い初め、お祝い全体については百日祝いと呼び分けることもあります。ただし110日や120日、長いところでは生後200日にお食い初めを行う地域もありますから、100日にこだわる必要はないでしょう。

箸揃え・お箸初め・箸祝い

お食い初めは赤ちゃんが初めて食事を食べる(真似をする)ことに注視した呼び名ですが、食事を食べるには箸を使います。言い換えれば赤ちゃんが初めて箸を使う日でもある……ということで箸祝いや箸揃え、お箸初めなど“箸”に関係した呼び方をする方もいらっしゃいます。

真魚始め(まなはじめ)

真魚始めは文字通り、何を食べるのかに重点をおいた呼び方。伝統的なお食い初めの祝い膳は鯛など魚が主菜として使われるため、赤ちゃんが初めて魚を食べる=真魚始めというわけですね。なぜお米大国なのに「米始め」という呼び名は無いのかが個人的には疑問ですが。

歯固めの儀(はがため)

お食い初めは赤ちゃんに大人と同じ物を食べさせる(真似をする)ことで「一生食べ物に困りませんように」という願をかけていますが、祝い膳の最後には歯固め石と呼ばれている石をかませる“歯固めの儀”と呼ばれる儀式が行われます。歯も生え揃わない赤ちゃんに歯固め石を口に含ませる・噛ませる真似をするのは「丈夫な歯が生える」もしくは「一生丈夫な歯のままでいられる」ようにという願いから。

お食い初めの歴史とは

お食い初めの起源については断定されていませんが、平安時代頃にはルーツと言えるような行事が存在していたことが分かっています。それは子供が生まれて50日目に行われていた“五十日の祝い(いかのいわい)”というもの。『源氏物語』にも“五十日の祝い”についての記述があり、おそらく朝廷・貴族たちの間では定番と言える行事の一つであったと考えられます。

とはいえ“五十日の祝い”は現在の百日祝いとは呼び名も期間も違いますし、この時に使用されていたのは祝い膳ではなくお餅。全く別のお祝いのように感じますが、内容は“父親もしくは祖父が赤子の口に餅を含ませる”というものでした。現在のお食い初めと共通点はありますよね。ちなみにお餅はそのままではなく、重湯にお餅を入れて柔らかくしたものだったようです。

平安時代までは雲上人のみが行っていた“五十日の祝い”ですが、鎌倉時代以降は様子が変化し始めます。まず鎌倉時代に記された『吾妻鏡』では、源実朝が生後110日目にお食い初めをして祝ったという記述があるそう。この頃には50日ではなく110日目にお祝いが行われていたと考えられますし、餅の代わりに魚を食べさせるように変化していたと考えられます。“五十日の祝い”ではなく百日祝い・真魚初めと呼ばれるようになった時期と言えますね。

鎌倉から室町時代にかけて百日祝いや箸初め・お食い初めなど現代で使われるような呼び名が使用され、儀式も形を変えたと考えられます。ただし室町時代に書かれた『河海抄』では“冷泉天皇の生後百日に御餅を供す”という記述もあることから、朝廷では変わらずにお餅を使用していた可能性が高いように感じます。江戸時代でも魚・餅・吸い物・飯(赤飯)・お酒を揃えて膳にのせたものがお食い初めに用いられていたようですから、真魚初めの時点で餅が消えたというわけではないと思います。現在でこそ使われることが減っていますが、祝い料理としても縁起物としても重視されていた餅は長い期間お食い初めにも使用されてきたと考えられます。

歯固め石・祝い箸のイメージ

歯固めは元々は別の行事?!

現在では赤ちゃんの健康な成長と「一生涯食べ物に困らないように」という願いを込めたお食い初めの最後に行われている、石を噛む“歯固めの儀”と呼ばれる儀式も平安時代から既に行われていました。ただし赤ちゃんの成長と幸せを願うお食い初めとは異なり、歯固めの儀は子ども用の儀式ではなく、大人が行う正月行事の一つでした。当時は石を噛んでいたわけではなく、固いものを食べることで丈夫な歯を願う儀式として行われていたのです。

昔は現代のような歯の治療は出来ませんし、性能の良い入れ歯もありませんでした。歯が駄目になってしまうと物を食べられなくなり、十分な栄養が取れなくなってしまいますよね。それ以外にも噛むという行為の重要性などが認められており現在でも「丈夫な歯は健康の鍵」という言われ方をしますが、昔は現在以上に歯があるかは切実な問題だったと考えられます。いつまでも歯が丈夫であるように願うというのは、長寿を願うことと同じ意味ですね。

平安時代にお正月行事として行われていた“歯固めの儀”は時代と共に「固いものの中でも長く伸びる餅は長寿に通ずる」と考えられるようになり、後にはお餅が歯固めの儀の定番になったと考えられています。これが鏡餅やお雑煮のルーツになったという説もありますよ。お食い初めとしても餅が使われていたのも、当時の日本ではご馳走であり縁起物であっただけではなく、歯が丈夫になる・長寿に通じると信じされていたためなのかも知れません。

お食い初めに必要なものと、それぞれの意味

祝い膳

お食い初め(百日祝い)のメインと言えるのが、赤ちゃんが「一生食べ物に困りませんように」という願いを込めて用意するお祝い料理。赤ちゃんが初めて何らかの食べ物を口にする・口にする真似をするというのがメインイベントです。

日本で古来から行われてきた行事ですから、伝統的に用いられるお料理は和食。
一汁三菜で“お祝い膳”と呼ばれるように高足の御膳にしつらえて、お赤飯・鯛などの魚・焚き物(煮物)・香の物・お吸い物の5品目が用意されています。これらのお料理には穀物・山のもの(畑のもの)・海のもの・塩・水分と、生きていくために必要な食材をすべて使うという意味もあるのだとか。「一生食べ物に困りませんように」という願いにも通じる謂われでもありますね。

また各料理にも様々な赤ちゃんの成長・幸せへの願いが込められています。お食い初めの料理全体としては伝統的な祝い膳が今尚人気なのは、我が子の健やかな成長と幸せを祈る親心からかも知れません。

お赤飯

日本でおめでたい時に多用されるお赤飯は、小豆の持つ赤色によって邪気を払う魔除けとしての意味もあります。現代人としては赤飯=お祝いの席の食事というイメージもありますから、百日祝いのお膳に使うことでお祝い感が出ますしね。地域によってはお粥や小豆粥だったり、炊き込みご飯を使うこともあるようです。

魚(鯛など)

鯛も小豆と同じく赤色をしていることから魔除けに通じますし、音が“めでたい”に通じることから日本で愛されている縁起物。見た目としてもおめでたく豪華な印象になりますが、お祝いの演出だけではなく厄災や病気を跳ね除けて健やかに成長して欲しいという願いも込められているわけです。

全国的に見れば鯛が使われることが多いですが、祝い膳のお魚はマスト鯛という訳ではありません。長寿を連想させる海老、ブリなどの出世魚、サンマやアジなどのお魚を用意するという地域もあります。

汁物

全国的にはすまし汁タイプが多いですが、地域によってはお味噌汁・けんちん汁のようなものを使用する場合もあります。ちなみにお吸い物は“吸う”力が強くなりますようにという験担ぎにもなっており、良縁や夫婦円満の縁起物である二枚貝を使ったり、長寿の縁起物である海老などを入れることも多いようです。

煮物

煮物そのものは縁起物という訳ではありませんが、穴が空いている事から“先を見通す”レンコン、勢いよく伸びることから“健やかに成長する”タケノコなどの縁起物を使用します。またおせち料理と同じく、煮物は様々な食材を炊き合わせることで“家族仲良く”にも通じますね。

香の物・酢の物

見た目にも華やかでおめでたい印象の紅白なますや、しっかりと根を張るように成長してくれるようにとタコなどの縁起物を使って作られます。シワが寄るまで成長することに通じ、色も魔除けの赤色であることから梅干しが縁起物として添えられることもありますよ。

そのほか“金運”の縁起物である栗や伊達巻、紅白のお餅やカマボコを用意するなどの地域もありますから、お正月のおせちと同じく縁起良く運気アップが期待できる食材を赤ちゃんのために用意していると言えます。縁起がよいとされる食材は伝統的なものではありますが、その由来はほとんどが見立て。我が家のルールとして縁起が良いと感じられる食材を独自に取り入れてみるなどしても楽しいですよ。

お食い初めの祝い膳イメージ

お食い初めにも様々なやり方があります。
地域によって献立が違う部分もありますし、最近は離乳食始めを兼ねてお祝いしたり、現代風のお祝いお料理を用意するご家庭もあります。伝統や縁起物ということも踏まえてメニューは伝統的なものを用意するけれど、その後に使う予定のないお膳セットは用意せず木の器などに盛り付けることも増えています。

こだわる方であればお膳についても男の子なら内外両方赤色、女の子は外側が黒色で内側が赤色の物を使うべし…と仰っていたりしますが、基本的に家庭内でのお祝いですから無理をする必要はありません。お祝いされる赤ちゃんと家族の皆さんが無理なく、楽しく“お食い初め”を行えるのが第一でしょう。

祝い箸

地域によってはお食い初めではなく“お箸初め”や箸祝いとも呼ぶように、赤ちゃんが初めて箸を使う日としても大切にされてきました。せっかくのお祝いごとでもありますから、普通のお箸ではなく「祝い箸」と呼ばれる、両端が細くなっているお箸を用意するのが伝統的な形。

祝い箸はお正月などにも使われている、寿と欠かれていたり、紅白の紙袋などに入れられているお箸のこと。長さは末広がりで縁起が良いとされている「八」を使って、八寸(約24cm)で作られています。先端が両方とも細くなっているのは、片方を神様が使う=神様と一緒に食事をするための設計。日本には神様にお供えしたものを人が頂くと加護やご利益が得られる「神人共食」という考え方がありましたから、祝い箸は神様のパワーを分けていただくためのツールでもあるわけです。反対側は神様が使う部分なので両面箸感覚でひっくり返して使わないように注意してください。

また、近年は箸にこだわらず、離乳食を食べさせる時にも使えるようなスプーンやフォークを用意するというご家庭もあります。日本のお食い初めの儀式と同じものではありませんが、ヨーロッパでは幼児洗礼の贈り物として銀のスプーンが使われています。このベビースプーンは後々お子さんが食事をする時にも使えるようなものや、柄の部分がループになっていたり穴が空いていてペンダントトップの様に使えるものも。使い捨て感の強い祝い箸よりも長く使えて、記念品としてとっておきやすい点がメリットと言えます。百日祝いのプレゼントに迷った時にチョイスしてみても良いかも知れません。

歯固め石

お食い初めのためのお料理(お膳)・それを食べるために使う祝い箸などの他に、百日祝い独特のものと言えるのが“歯固め石”と呼ばれる石。お食い初め膳の写真を見ているとお膳に3つ石が載っていたり、大きな黒豆のように見えるものがありますが、それが歯固め石です。

歯固め石は上記でもご紹介した通り、歯が丈夫になることを願って赤ちゃんに噛ませるもの。意味については様々な解釈がありますが「これから石のように丈夫な歯が生えてものをしっかり食べれますように」など、丈夫な歯が生えてくれること・食べることに困らない生涯を送れるようにという願いが込められた行事です。昔は歯の丈夫さは健康や長寿と今以上に密接な関係がありましたか、無病息災や長寿祈願に通じる部分もありますね。

この歯固め石、どこから入手するのかと言えば元々は氏神・産土神様のいらっしゃる近所の神社の境内から授かるものでした。社務所やネット上の通販ページでご祈祷済みの“歯固め石”を授与(販売)されている神社さんもありますし、社務所でお願いすれば神社の境内の石を拾って持ち帰らせてくれるところも多いようです。お祝い膳を注文すると一緒に“歯固め石”を送ってくれる仕出し屋さんも多いですよ。また、必ず神社にある石・神社でご祈祷してもらった石を使わなくてはいけないというルールもありませんので、綺麗な川辺などで拾ってくるという方もいらっしゃるそう。拾った石は必ずしっかり洗って消毒して使いましょう。

仕出しとセットではなくともインターネットでは神社でお清めした歯固め石・歯固め石と祝い箸など百日祝いでつかう小物類のみをセットにしたものなども販売されています。ただし。口にするわけではなくとも、誰が踏んだか分からない石を使うのは嫌という方も少なくないと思います。そういう方であれば伝統的な歯固め石ではなく、歯固めを目的としたベビー用品で代用するのもアリ。見た目も可愛らしいものが多いですし、食洗機や煮沸消毒しても問題ないようにきちんと製品化されているものなので安心感が高いのもメリット。お食い初めの時だけではなく、赤ちゃんの歯が生え揃うまでお口のムズムズ対策として活用できます。

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そのほか“歯固め石”にこだわらず、別の固いものを用意するというのも一つ。というのも地域によっては石を使わず、お正月の鏡餅など固いお餅を使ったり、タコや栗の実などを噛ませて“歯固め”を行う事もあります。元々の歯固めの儀は食べ物を使って行われており、後には縁起も良い餅をつかうとよろしい、となった歴史もありますから、石でなくてはいけないという事は無いでしょう。臨機応変に、現実性も合わせて各ご家庭で何を使うか選んでみてください。

お食い初め・歯固めのやり方とお祝いについて

お食い初めは生後100日に行う?

百日祝いとも呼ばれるように、お食い初めの儀式を行うタイミングは生後100日くらいというのが全国的にポピュラーではありますが、現在は生後100日~120日くらいと幅を持って考えられています縁起を担ぐのに大安吉日を狙う方もいらっしゃるようですから、100日というのはあくまでも目安、厳密さを求める必要はありません。

また、お食い初めは“赤ちゃんの歯が生え始める(生え揃う)”時期に大人と同じものを食べさせる儀式である、と紹介されることもありますが、乳歯が生えてくる時期にも個人差がありますよね百日くらいで歯が見え始めているお子さんもいれば、一歳になる頃まで乳歯が生えてこないというお子さんもいらっしゃいますから、心配になる必要はありません。歯が生え始めてから歯固めをしたい、という場合であれば、100日よりも遅らせてお食い初めを行ったとしても問題ありません。

昔はお食い初めもしくは歯固めの儀式を行うことに重点が置かれていましたが、現在は離乳食を食べ始める切っ掛け・お祝いを兼ねて行う方もいらっしゃいます。離乳食で実際に「お食い始め」をするとなると、ますます“自分の子ども成長・体調”に合った時期を選ぶ必要があります。それ以外にもお祖父ちゃんお祖母ちゃんが遠方から来る、パパとママの仕事の関係などもありますよね。

お食い初めは法的にも宗教的にも義務として行われている儀式ではありません。伝統的な形とされているものは確かにありますが、それだって地域によって違いがあります。あくまでも家族内で赤ちゃんの成長をお祝いする行事。都合がつかなかったり、納得出来ないのに無理やり行う必要はありません。個人的には伝統に則っているかよりも、参加する皆様で楽しく赤ちゃんをお祝いしてあげられるかが重要だと思いますよ。

お料理の食べ順、食べさせる“養い親”は?

お食い初めで赤ちゃんに食事を食べさせる真似をする人のことを「養い親(やしないおや)」と呼びます。伝統的な方法であれば、養い親は身内の中から赤ちゃんと性別が同じ最年長の方にお願いします。これは最も長生きしている方に食べさせてもらうことで、その長寿にあやかれるようにという意味があります。

このため昔は曽祖父や曾祖母、大叔父さんなど最年長の人が選ばれていましたが、現在はお祖父ちゃんお祖母ちゃんに頼むことが多くなっています。また、両家の祖父母をご招待せずに同居している家族だけでお祝いをする方も増えていますよね。祖父母や親類をご招待する場合などは顔を立てるという意味でもお願いするのが無難ですが、呼ばない場合であれば赤ちゃんのパパとママで食べさせても問題ありません

ちなみに男の子なら養親は男性・女の子なら養親は女性という点についても曖昧になってきています。養親が自分の膝に乗せて食べさせる(真似をする)というのが伝統的なやり方ではありますが、パパの膝に乗せてママが食べさせたり、両親が交互に食べさせてあげても全く問題はありません。思い出に残るイベントの一つですから、作法にこだわらないという方であれば互いに養親になって写真を取り合ったりしても楽しいのではないでしょうか。

お料理の食べ順・歯固めをするタイミングは?

お食い初めで赤ちゃんに食べさせる(真似をする)お料理の順番については、地域によって様々な伝統があります。ネットでも色々な食べ順が“コレが正式なお食い初めの順番”と紹介されていますが、何パターンかあって迷ってしまいますよね。全国的に多いものとして紹介される順番はありますが、地域によって違いもありますので、別の順番を教えられたという方はご存知の方を採用してください。

【一汁一菜の場合】
赤飯→吸い物→赤飯→魚→赤飯→吸い物
これを三回繰り返し、
歯固め→赤飯→お吸い物→赤飯
という流れで終了します。

【一汁三菜の場合】
赤飯→吸い物→赤飯→魚→赤飯→吸い物
→赤飯→煮物→赤飯→吸い物→赤飯→香の物
ここまでを三回繰り返し、
→赤飯→お吸い物→赤飯
→歯固めの石→赤飯→お吸い物→赤飯
という流れて歯固めを行って終了します。

お食い初めの食べ順については地域や家庭によって違っています。大前提として“三角食べ”を意識するような感じはありますが、正解については人や地域によってそれぞれと言いたい所です。こだわりすぎて頭の中がお食い初めの順番だけになる、間違えたと気に病んでしまうくらいなら、お子さんの成長を祈ることができるくらいの余裕を持って行ったほうが良いでしょう。昔はさておき、現代式は形式よりも家族の愛情を注いで成長への願いを込める「気持ち」の方が重視されていますよ。

お食い初めに使った祝い箸・歯固め石はどうする?

お食い初めとは言いますが、何度も書かせていただいているように赤ちゃんは実際に料理を食べるわけではなく「食べている真似」をするだけです。では、せっかく用意した祝い膳のご馳走はどうするのか…と言えば、お祝いに参加している皆さんで分け合って食べると良いようです。勿体無いですし、祝い箸を使うような儀式のお食事には神様の力が宿るという考え方もありましたから、お祝いできたことに感謝して頂きましょう。

祝い箸はお焚き上げに出す、歯固めに使った石は神社にお返しするという方法がポピュラーではあります。しかし石を拾ってきた・祝い膳についてきたような場合であれば神社に相談したり、拾ってきた場所にお返しするなど扱いは代わってきます。また石ではなく歯固めとして継続して利用できるものを使用した場合は、使い続ける事もできますから臨機応変に。お箸についてもお清めの塩をしてからゴミ回収に出す、そのまま捨てるという方もいます。良心が傷まず、他所様に迷惑にならないように対応して頂ければ、どの方法でも問題ないでしょう。

参考サイト:お食い初めとは【お食い初め】歯固め石を調達する6つの方法と使い方

男女それぞれ色をした漆塗りの食器類を購入せよ、お膳セットを揃えよ、正しい食べ順でお食い初めと歯固めをせよ。もっとこだわる方なら祝い箸に名前を書いて神棚にあげよ、とか、お食い初めは恵方を向いて、とか…様々な人が好き勝手に言う「正式な作法」を踏まえて行おうとすると、百日祝いは結構大変。可愛い我が子のために調べて取り揃えるのもまた楽しいですが、形式から外れないようにと気にしすぎると楽しさは半減してしまいますよね。

最近は祖父母の年代の方々も、昔よりは若く柔軟な感覚の方が増えているように思います。私が祖母や母から聞いた赤ちゃんの時の儀式って「ひたすら苦痛」「夫の実家への接待」くらいの感覚らしいですから、誰も呼ばずに家族だけでやりたいっていう世帯が増えているのも納得。私もやることがあれば、正直夫の親は抜きが良い(苦笑)。「子どもを想う親心」があって伝統が生まれたわけですから、伝統に縛られて子どもの幸せを願う余裕がないくらいであれば簡略化なり現代アレンジをするなりして親子ともに楽しむべきだと個人的には思います。伝統と正式って言葉が大好きな人に負けないで、どっちも地域や家によって違うものだから…!