ハロウィンの仮装やランタンの由来は?
-ジャック・オ・ランタンの意味と成り立ちも紹介

ハロウィンの仮装やランタンの由来は?<br/ >-ジャック・オ・ランタンの意味と成り立ちも紹介

ハロウィンのイベントとしてお馴染みなのが、大人から子どもまで楽しめる仮装。フルで衣装を揃えてハロウィンパレードに参加する方もいれば、ネイルだけ・ネクタイだけなどちょっとしたお洒落として楽しむ方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。前回のハロウィンの起源から引き続き、ハロウィンの仮装・ゲーム・ハロウィンのシンボルとなっているカボチャの“ジャック・オ・ランタン”についてご紹介します。

ハロウィンの仮装、ゲーム、ランタンについて

ハロウィンで仮装する意味と歴史

ハロウィンイベントの代表的なものと言えば、各地で行なわれている仮装パレード。日本でも渋谷のハロウィンパレードは毎年何かと世間を賑わせていますし、アメリカの“ニューヨーク・ヴィレッジ・ハロウィン・パレード(New York’s Village Halloween Parade)”は世界中に中継されていますね。現在ではジャンルを問わず様々なキャタクター達を見かけることが出来ますが、元々は異界や魔物を連想させる不気味で不吉な衣装のみでした。これはハロウィンの起源とされる古代ケルトの“サムハイン祭(Samhain/サウィン祭とも)”が関係しています。

ケルトにおける“サムハイン祭”は、日本で言う大晦日とお正月+収穫祭のようなもの。季節と年が変わるサムハインは現世と霊界の境が曖昧になり、あの世との行き来ができるタイミングと考えられていました。このためサムハインにはお盆のようにご先祖様が帰ってくると良い意味もあるものの、悪霊や魔物・魔女などが悪さをしようと出てくる日という側面もありました。そこで考えられたのが、彼らと同じような不気味な格好をすること。自分を人間ではなく悪霊や魔物に見せかけることで、取り憑かれないようにしようとしたのが仮装の始まりと考えられています。

ハロウィンの起源と意味についてはこちら>>

いつからハロウィンの仮装が行なわれていたかは定かではないものの、16世紀頃にはスコットランドやアイルランドで何らかの衣装を着る風習が存在していたと考えられています。後にハロウィンがアメリカに伝わると「悪霊から身を守る」という宗教的な意味合いはなくなりましたが、ホラーテイストの仮装を楽しむものとして広がっていきました。古くはスケルトン、悪魔、魔女やその眷属とされるコウモリ・黒猫・蜘蛛、スケルトン、幽霊などが多かったようですが、1950年代頃からはフランケンシュタインや狼男・吸血鬼・ゾンビなど流行したホラー映画のモンスターも使われるようになります。普段とは全く別の格好、特に宗教的・道徳的に許されにくい装いが堂々と出来るというのも、ハロウィンのが人気になったポイントと言えるかもしれません。

近年では映画やアニメのキャラクターの衣装を着るなど“ホラー”にこだわり無く仮装を楽しむ方も増えています。ニューヨークのハロウィンでもスパイダーマンやキャットウーマンなどのヒーロー達から、アニメキャラ・大統領まで様々な格好の方が参加しています。日本のアニメキャラクターを始め、花魁(芸者?)や忍者のような方が映し出されることもありますね。基本的には「好きな仮装で楽しめば良い」ハロウィンですが、地域によっては神父などの聖職者の仮装をすることは法律で禁止されている事もあるので注意が必要です。

Advertisement

アップル・ボビング(ダック・アップル)

日本で馴染みがないものの、欧米ではパーティーの余興や子供向けに「アップル・ボビング (Apple Bobbing)」もしくは「ダック・アップル (Duck Apple)」と呼ばれるゲームが行なわれています。ゲームの内容としては、水に浮かべたリンゴを手を使わず口で咥えるというゲーム。勝敗について早く取れたほうが勝ち・制限時間内に沢山取れた人が勝ちとする2パターンがあります。TVで芸人さんがよくやっている“小麦粉の中の飴を探すゲーム”に近い感覚ですね。

アップルボビングが行なわれるようになった理由については、単にハロウィン時期にリンゴの収穫シーズンだった=収穫祭(サムハイン)の余興として使いやすかったという説と、古代ローマ文化の影響という説があります。ケルト民族の大半は紀元前1世紀~1世紀までの期間に古代ローマに征服されています。そのローマでは11月初頭に果物の女神であるポーモーナの祭典が行なわれていたと考えられています。ポーモーナは果樹・果物全般を司る女神ですが、シンボルはリンゴ。これがローマ支配下の時代にサムハインと混ざり、ハロウィン(サムハイン)にはリンゴがよく使われるようになったというのがローマ文化習合説。

このポーモーナ祭典については否定的な見解もありますが、様々な食材の収穫時期なのにリンゴだけが多用される理由として支持する声も少なくないようです。ちなみに現在ハロウィンを代表する食材となっているカボチャはアメリカ大陸が原産。登場するのは千年以上も後の話になりますから、アメリカ式ハロウィンの代表ではありますが、伝統的なハロウィン行事食(食材)としてはリンゴと言えるかもしれませんね。

ジャック・オ・ランタン

ハロウィンのシンボルキャラクターともなっている、顔の彫られたカボチャのランタン「ジャック・オ・ランタン(Jack-o’-Lantern)」。日本ではインテリア小物などで見かける機会が多いですが、欧米では中にキャンドルなどを入れて呼び名通り“ランタン(提灯)”にして家の前などに設置するのがポピュラーだそう下記ではこのジャック・オ・ランタンのモデル、ハロウィンで使われるようになった意味や歴史を掘り下げてみたいと思います。

ハロウィンとジャック・オ・ランタンの関係

カボチャで作ったジャック・オー・ランタンのイメージ

ジャック・オ・ランタンとは

ハロウィンのシンボルキャラクターとなっているのが、顔のついたカボチャ。メーカーなどによって色々なタイプのお顔があるものの、三角形の目と鼻・ギザギザの口が描かれているのが定番ですね。このカボチャのキャラクターには「ジャック・オ・ランタン(Jack-o’-Lantern)」という名前があります。ハロウィンには魔女や黒猫・ゴーストなど様々なモチーフも使われていますが、一目見ただけでハロウィンと断定できるのはジャック・オー・ランタンだけではないでしょうか。

カボチャに顔の描かれたジャック・オ・ランタン。日本ではインテリアやイラストなどで見かける機会が多いですが、呼び名の通りに中身をくり抜いてランタンとして使うのが本来の形。ジャックは名前なので、意味としては提灯ジャックもしくは行灯ジャックというところでしょうか。ハロウィンには人間に害をなす悪霊達がやって来てしまう日なので、古くから明かりを灯すことで悪霊達を遠ざけるという風習がありました。時代と共に様々な伝説の影響を受け現在のジャック・オ・ランタンの形へと変化しましたが、飾る理由・目的としては「魔除け」が主だと言えます。

ジャック・オー・ランタンの正体は鬼火?

ハロウィンにランタンが使われるのは“ウィルオウィスプ(Will-o’-the-wisp)”と呼ばれる鬼火が関係していると考えられています。鬼火というのは浮遊する青色がかった光のことで、日本では火の玉や狐火とも呼ばれています。亡霊や妖怪、もしくはその出現の合図と解釈されることもあるアレですね。日本国内だけでも鬼火の伝承は沢山ありますし、世界中到るところに鬼火にまつわる伝承が存在しています

ちなみに鬼火を指す英語“ウィル・オ・ウィスプ(Will-o’-the-wisp)”は、ウィル(ウィリアム)にまつわるイングランドの民間伝承が語源とされています。生涯と死因については様々なバリエーションがありますが、ウィルは極悪非道な男として語られています。彼は死ぬと天国への門へ向かいますしたが、聖ペテロは生前の所業から地獄行きを命じます。地獄に行きたくないとウィルは言葉巧みに聖ペテロを説得し、再び人間として生まれて第二の人生をゲットしちゃうんですね。

しかし、二度目の人生も彼は全く改心せず悪行三昧。再びウィルが死ぬと呆れ返った聖ペテロは「天国へ行くことも地獄へ行くことも許さん」とウィルを締め出し、行き場のないウィルは現世を彷徨い続ける事になりました。しかし悪を貫くウィルに好感を持った悪魔は、ウィルに地獄の炎から抜き取った燃える石炭を一つプレゼントしました。ウィルはこの火でトーチを作り、旅行者を旅人を迷わせて沼や森に引きずり込んでいるのだそう。

ヨーロッパ各地にはこれと似たような話が残っており、下記で紹介するジャック・オ・ランタンの伝承も元は同じ話だったのではないかという説もあります。偶に旅人の道案内をしてくれるという好意的な話もあるようですが、基本的には鬼火=罪人の幽霊・悪さをするものという認識なのだとか。

ジャック・オ・ランタンのジャックとは?

ジャックはアイルランドの民話に登場する男性の名前。アイルランドやスコットランドなどのケルト文化圏では、この鬼火はジャックという男の成れの果ての姿であるという伝説が残っています。彼はその伝説から“けちなジャック”という意味でスティンジー・ジャック(Stingy Jack)、飲んだくれでいい加減な男であることから“Drunk Jack”や“Flaky Jack”、職業が鍛冶屋と伝えられることから“Jack the Smith”など、様々な呼ばれ方をしていますが全て同一人物。ジャックの伝説には様々なバリエーションが存在していますが、大まかなあらすじだけご紹介します。

ジャックは飲んだくれの詐欺師で、おまけに乱暴者。あるハロウィンの夜もジャックはひどく酔っ払いながら、田舎を歩いていました。悪魔は前々からジャックの悪評が気になっており、この日にジャックの魂を手に入れようと企んでいました。酔っ払ったジャックと、彼の魂を狙う悪魔は石畳の上で遭遇します。

悪魔の姿を目にして魂を奪われると悟ったジャックは、悪魔に「魂はやるから、最期に酒を飲ませろ」と交渉します。悪魔がジャックを地元のパブに連れて行って酒を飲ませると、ジャックは「金が無いからコインに変身してくれ」と悪魔を説得。悪魔がコインに姿を変えると、ジャックは悪魔が元の姿に戻れないようにと十字架と一緒に仕舞い込みました。悪魔は身動きができず、10年間は自分の魂を奪わないことを約束して解放されます。

そして10年後。再び悪魔がやってくるとジャックは「死ぬ前にりんごを食べたいから、あの日から取ってきてください」と言います。そして悪魔がリンゴの木に登ったところを狙い、ジャックはリンゴの木の幹に十字架の切れ込みを入れます。まんまと悪魔を罠に嵌めたジャックは、解放の条件として「自分の魂を決してとらない」ことを約束させました。

やがて死を迎えたジャックの魂は聖ペテロの門を通ろうとしますが、生前の罪深い行いから天国に入ることを拒絶されます。ならばとジャックは地獄の門へと下りますが、悪魔は「お前の魂は取らないと約束したから、地獄には連れて行けない」と言います。行くところがなく困ったジャックが悪魔に助けを求めると、悪魔は燃える石炭をジャックに投げ渡します。ジャックはこの炎をカブをくり抜いて作ったランタンに入れ、自分を受け入れてくれる場所を求めて永遠にさまよい続けています。

この伝説は”Jack of the Lantern”と呼ばれていたそうですが、後に”jack-o-lantern”に短縮されました。さらにジャックの魂はカブに憑依しており、鬼火がカブで作ったランタンの灯りであるという伝承もあるそうで、ランタンそのものをジャック・オ・ランタンと呼ぶことが一般的になりました。そしてジャックの伝説については“けちなジャック(Stingy Jack)”などと表現する方が多いようです。

ウィルオウィスプにまつわる伝説にも、ウィルは聖ペテロを騙したのではなく「悪魔をコインに化けさせて閉じ込めた」というバリエーションが存在します。どちらにせよウィルオウィスプとジャックオランタンの正体は鬼火であるとされていますし、伝説も共通点が多いので同じものであると扱われることもあります。現在私達はハロウィンに使うカボチャのランタンをジャック・オ・ランタンと読んでいますから、その由来としてはウィルさんではなくジャックさんの方がしっくり来けどね。

元祖ジャック・オ・ランタンはカブだった?

沢山のジャック・オー・ランタンのイメージ

ハロウィンにジャック・オ・ランタンを作って飾る風習は、アイルランドとスコットランドが起原とされています。いつ頃から作られていたのかは断定されていませんが、ジャックの伝説はキリスト教の影響が色濃く見受けられること、Halloweenという言葉が使われるようになったのが16世紀以降であることから、16~17世紀頃からではないかと考えられています。ちなみに、当時のジャック・オ・ランタンは現在のもののようにコミカルな顔ではなく、かなりグロテスク。これは怖い顔で悪霊や彷徨っているジャックを怖がらせ、家に入ってこないようにという考えが元になっているそうですよ。

顔が彫られたランタンという意味ではジャック・オ・ランタンですが、当時は大きく育ち柔らかくて加工しやすいカブが主に使われていたと考えられています。上でご紹介したジャックの伝説でも“ジャックは炎をカブをくり抜いて作ったランタンに入れて彷徨っている”という表現がありますしね。そのほかルタバガ、ビーツ、ジャガイモなどランタン作りに使われていましたが、カボチャが使われるようになったのはアイルランドからアメリカへの移住が盛んに行われる1800年代以降と考えられています。

カボチャはアメリカ大陸が原産。アメリカに渡ったアイルランド系移民がカボチャを見て、カブやビーツよりも大きく育ち、かつランタンに加工しやすいことに注目します。ちなみに、この頃のアイルランドからの移住は主要食物のジャガイモが疫病により枯死した“ジャガイモ飢饉”と、宗教的問題の関係が大きかったと考えられています。一旗揚げようというよりは、国にいられないから新大陸へという感じですね。当時アメリカではカボチャが多く栽培され値段が安かったことも、ハロウィンにカボチャが使われるようになった一因とされています。

ともあれ、アイルランド系移民達はカボチャを使ったジャック・オ・ランタンを作りました。ジャック・オ・ランタンは家の外に飾るものですから多くの人の目にとまり、その個性的なビジュアルから他国から来た移民たちにも広がっていきます。また19世紀後半から20世紀初頭にかけては、特に子供を持つ親・各地のお偉いさん達がハロウィンから「グロテスクさ」や「怖さ」を無くすよう働きかけていた時期なのだとか。デスマスク+エグさを押し出したようなデザインだったジャック・オ・ランタンが、三角目のコミカルなお顔に変更されたのも同時代だと推測できます。

ちなみに、近年はネオペイガニズム(復興異教主義)や、インスタグラムなどのSNSが普及した関係もあり、再び注目を集めるようなグロテスクなランタンを作る方も増えているようです。カボチャ果肉の繊維感を生かして作られたゾンビのような顔、すごくリアルな人の顔の彫刻がされたものなどが毎年公開されていますね。もちろん怖いものだけではなく、カービング技術を駆使して透かし彫りのランタンのように仕上げられたものや、流行のキャラクターに見立てたものもありますよ。

参考サイト:HISTORY OF THE JACK-O-LANTERN

ずっと気になっていたウィルオーウィスプがジャックランタンと関係するという説、調べてやっと自分なりに納得しました。極悪人ウィルとけちんぼジャック、どっちの話も共通点があるってことなんですね。個人的にはジャックの方には若干の情状酌量の余地がある、反省したら地獄に入れてあげても良いんじゃないかと思ったりしますけど(苦笑) ジャック・オ・ランタンは“ジャックを模したランタン”ではなく「怖い顔で悪霊(彷徨っているジャックを含む)を怖がらせてこっちに来ないように」という趣旨で作られているのは意外と知られていないのでは?

ところで、ハロウィンでも年に一度の楽しいイベントとして受け入れられていますが、一部では「楽しければ良い」という風潮が強いと思います。ハロウィンパレードの参加者のマナーが悪くて開催地周辺の方からはクレームも多いことが報道されていますしね。仮面を被って非日常を楽しめるイベントではありますが、それを見る人・周囲の人の心境も考える必要があると思います。参加している人たちが自己中に盛り上がるイベントではなく、家族で仮装した人々を見に行くのが行楽の一つくらいになれば良いなと。悪霊じゃなく、生きている善良な市民を脅してはいけませんと言いたい。