挙式演出のユニティーキャンドルとは
意味や流れ、海外で人気の代替え演出も紹介

挙式演出のユニティーキャンドルとは<br/ >意味や流れ、海外で人気の代替え演出も紹介

結婚式の演出で、家族の絆と二人のこれからを象徴するセレモニーとして日本でも注目度が高まっているユニティキャンドル。アメリカの結婚式では定番となっている演出で、幻想的かつオシャレなだけではなく感動的なシーンにもなります。そんなユニティーキャンドルセレモニーの意味や流れ、キャンドルを使わないユニティセレモニーをど紹介します。

ユニティーキャンドルセレモニーとは

ユニティーキャンドルの意味・由来

ユニティーキャンドルセレモニー(Unity Candle ceremony)はロウソクを使って行われる結婚式の演出の一つ。一般的には左右の細めのキャンドルと、中央にある大きめのキャンドル、3本のキャンドルを使って行われます。左右のロウソクは新郎新婦それぞれの家庭・家系を意味しており、中央の大きなキャンドルが新郎新婦がこれから築いていく家庭を意味しています。二つの家族が結ばれて一つになるため、ユニティー(unity/統一)キャンドルというわけですね。

このキャンドルに火をつけていく演出全体を指してユニティーキャンドルセレモニーと呼びますが、中央に置かれている大きなタイプのキャンドルを花嫁・花婿が一緒になる証としてユニティーキャンドルと呼ぶこともあります。左右にあるそれぞれの実家を示す細めのキャンドルはテーパーキャンドルと呼び分けます。

日本では「ユニティーキャンドルはキリスト教で伝統的に行われてきた演出であると」紹介されることが多く、由来についても『旧約聖書(創世記)』の“それゆえ、男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである”というフレーズとされていますね。しかしユニティキャンドルセレモニーが普及したのは1980年頃からと歴史は浅く、おそらくアメリカで始められたものと考えられています。プロテスタント系の挙式では定番となっていますが、同じキリスト教でもカトリックでは扱いが微妙となっています。

カトリック教会などプロテスタント以外では禁止していないものの実践を推奨しているわけでもない…人気のある演出なので拒みはしないけど、儀式の一部ではないからねというスタンスが主。ユニティキャンドルの明確な起源は分かっていませんが、アメリカで大きなキャンドルを売るために考案された=営利目的で普及させられたセレモニーであるという批判もあります。日本はさほど宗教的な縛りはないので気にする必要はなさそうですが、キリスト教全般で定番の儀式ではないということは覚えておいたほうが良いでしょう。

それはさておき。
両家から受け継いだ火を使って、新郎新婦が新しい家庭を連想させるキャンドルに火をつけるという演出はロマンチック。日本人好みでもあります。新しい家庭がここに誕生したという印象が出ますし、披露宴のウェディングケーキ入刀のように二人が共同して行う演出であるというのも人気が高まっているポイントではないでしょうか。両家のご両親が参加することで、両家での絆や愛情・伝統を受け継いでいくということも表現できます。

ユニティキャンドルの種類は?

ユニティキャンドルセレモニーで使われるキャンドル(ロウソク)に特に決まりはありません。3本のキャンドルのうち新郎新婦お二方の家を意味するテーパーキャンドルが細め、中央に設置するこれから作られる家庭を意味するユニティキャンドルの方が太く大きめの形であればOK。真っ白なシンプルなものをはじめ、ユニティキャンドルセレモニー用にウェデング感のある装飾が施されているものも販売されています。招待状やウェデングドレスなどのデザインと統一感を出したり、オリジナルのキャンドルをDIYされる方もいらっしゃいますよ。

同様にキャンドルホルダーにも特に決まりはなく、溶けたロウが落ちて会場の迷惑にならない形であれば問題ありません。3つのキャンドルを並べられる“ユニティースタンド”と呼ばれるタイプのものが使われているのをよく見かけますが、それぞれ一つずつキャンドルホルダーに設置しても素敵ですよ。単体タイプはハートやお花をモチーフにしたものも多いので、細部にまでこだわりたい方には嬉しいかもしれません。

ユニティーキャンドルの演出方法

ユニティーキャンドルセレモニーは特に難しい演出ではありません。地域や人によって異なる部分がありますが、基本的なセレモニーの流れをざっくりと紹介します。アメリカの結婚式では一般的な演出となっているユニティーキャンドル。しかし日本では馴染みのない演出でもありますから、途中途中に司会者の方に説明をいれてもらうと参加してくれている方々も暖かく見守ってくれるでしょう。

1.テーパーキャンドルに灯火

司会者の合図でご両家の代表者がそれぞれ前へと進み、両サイドのテーパーキャンドルに火を付けます。キャンドルに点火する各家族の代表としては、二人を産み落とした=命を授けた母親がするのが一般的。ただし決まりはありませんから、お父様や兄弟姉妹などのご家族が点火しても問題ありません。点火が完了したら元の席へと戻ります。

2.ユニティキャンドルに灯火

続いて司会者の合図で新郎新婦がキャンドルの元へと進み、家族の代表が火を付けてくれたテーパーキャンドルをそれぞれ手に持ちます。二人で息を合わせて真ん中にあるユニティキャンドルに火を付ければ完了です。

灯火した後のキャンドルは?

新郎新婦が灯したユニティキャンドルは式の終了まで灯したままにしておきます。対して両サイドに置かれている2本のテーパーキャンドルについては、灯したままにする場合と、消す場合があります。火を灯したままにすると「結婚して新しい家庭を築いても、元の家族の絆が無くなるわけではない」という意味が、火を消すと「今までの家庭から自立し、自分達で新しい家庭を築く」という意味が強調されますね。ルールは無いので持たせたい意味合い・演出効果などを考えて選んでみて下さい。

キャンドルサービス・キャンドルリレーについて

キャンドルを使った演出としてはユニティーキャンドル以外に、キャンドルサービスやキャンドルリレーもあります。ユニティーキャンドルは結婚式の演出として、キャンドルサービスなどは披露宴の演出として行われることが多いセレモニーですが、日本ではキャンドルサービスのほうが馴染みのある方も少なくないはず。実はこうしたキャンドルを使った演出もユニティーキャンドルが由来で、それをより親しみやすいものとして日本で考案されたもの。

キャンドルサービスはご存知の通り、お色直しの後の再入場時などに新郎新婦がゲストの方々の席を回ってキャンドルに点火していくというもの。火を付けながら参加してくれたことへの感謝などを伝えられる時間もとれるのが利点ですし、新郎新婦から幸せのおすそ分けイベントとして使うことも出来ます。

キャンドルリレーはゲスト参加型で新郎新婦が各代表者のキャンドルに火を付け、その代表者から同じテーブルの方へと点火を回していくという方法。最後に新郎新婦に再び火が渡され、二人で会場のメインキャンドルに点火します。会場全体にロウソクの火が揺らめく光景はとっても幻想的ですし、会場にいらしてくれたゲストの方を退屈させず一体感を味わえるというのも嬉しいところ。流行しつつあるユニティキャンドルだけではなく、日本で独自の進化を遂げた演出を取り入れてみても良いかもしれません。

キャンドル以外のユニティーセレモニー

アメリカを中心に行われているユニティーキャンドルセレモニー。日本ではまださほど馴染みのない演出ではありますが向こうでは定番となっているため、より個性的でオシャレな演出をしたいと様々な代替え案も考案されています。ラブレターなどを埋めるタイムカプセルのような方法もありますが、下記ではユニティ=結婚してこれから家族として生活しますという印象の強いものをご紹介します。

サンドセレモニー(砂を注ぐ)

近年欧米の結婚式でユニティキャンドルの代わりの演出として人気になっているのが、砂や色付きの細かいガラスを注ぐというもの。新郎サイド・新婦サイドにそれぞれテーパーキャンドルならぬテーパーグラス(容器)を用意し、色の異なる砂を入れておき、中央にあるユニティグラスに二人で注ぎ入れていきます。起源は分かっていませんが、普及したのは2003年にTV『The Bachelorette』で成立したカップルのトリスタ・レーンとライアン・サターの結婚式の影響だそう。

違う色の砂・色のついたガラスを入れるという演出は、二人の生活や個性が混ざりあって今後の結婚生活をすごすという象徴と捉えられています。結婚してもどちらかに染まり切るのではなく、互いの良さを引き立てあって行きていく現代の結婚スタイルにはピッタリではないでしょうか。一度混ざりあったものをバラバラにすることは困難なので、二人の愛の堅さを意味することにもなりますね。砂は自分の好きな色やイメージカラーを選ぶほか、生家の庭や思い出の場所などから採取したものを使うのも人気。

二人で砂を注ぎ入れるためのユニティグラス(?)はおしゃれな形で、蓋ができるタイプのものも多いよう。キャンドルとは異なり、挙式後はインテリアとして一生の思い出を飾っておけるというのも嬉しいところですね。砂ではなくガラスの粉を購入し、挙式後にガラス工房に送ると加熱してクリスタルの置物を作ってくれるというサービスも有るのだとか。キャンドルよりも自由度が高く、形に残るというのが人気となったポイントかも知れません。

花・絵の具などを使うセレモニーも…

サンドセレモニーの派生のような感覚で、インクなどを溶いて作った2色の色水を新郎新婦がそれぞれ注ぎ、一色に混ぜ合わせるというウォーターセレモニーもあります。いくつもの層のようにグラデーションがかった仕上がりになる砂とは違い完全に混ざりあうこと、注いでいくと水の色が変化していくことがポイントと言えるでしょうか。二人仲良く・二人で一つという意識を演出したい方に良さそうですね。小さいお子さんが多ければウケそうですし。

お水以外にも新郎新婦がそれぞれ両サイドのグラスから中央へと花を移し替えるという、花を使ったユニティーセレモニーも行われています。定番のバラを使ったローズセレモニーが定番で、新郎新婦の好きな花・今後の家庭をイメージしたお花などを使う方もいらっしゃるよう。新郎新婦の後にゲストの方にもお花を入れてもらうなど、会場参加型イベントにアレンジすることも出来ますね。そのほか新郎新婦がそれぞれ色を選び、用意したキャンパスに二人で絵を書いていくというアーティスティックなカップルもいらっしゃるそう。カジュアルなガーデンパーティーなどであれば盛り上がりそうです。

ワインセレモニー(お酒をブレンドする)

こちらもサンドセレモニーの派生と言えなくはなりですが新郎新婦が赤ワインと白ワインなど異なるワインを一つの容器に注ぎ入れて、同じ容器からブレンドドリンクを飲むという演出もあります。二つを一つに混ぜ合わせるという演出のほか、同じ容器に口をつけることで結婚した・一つになったということを表現しているのだとか。ちょっぴり日本の“三三九度”に通じる部分もあるかもしれません。あえて日本式に男性が三度→女性が三度→男性が三度の順で口にしてみても面白いのではないでしょうか。

ワイン以外にビールや、お酒が苦手な方であればジュースもしくはハーブティーなどを使って行うことも出来ます。結婚式のセレモニーと言うよりは、披露宴や二次会などカジュアルな席での演出に向いているかもしれません。

ジャンプ・ザ・ブルーム(ほうきジャンプ)

こちらは結婚式の終了時に新郎新婦が手を取り合って一緒にホウキをジャンプするという演出で、アフリカ系アメリカ人の結婚式を中心に行われています。起源としては古い時代の西アフリカにあるのではないかという説もありますが、出処は分かっていません。分かっているのはアメリカで黒人が奴隷されていた時代、結婚式を挙げられなかったアフリカ系アメリカ人のカップルがホウキを飛び越えるという儀式を結婚式の代わりに行っていたということ。

人種差別が撤廃されアフリカ系の方々が合法的に自由に結婚できるようになるとこの風習は廃れましたが、1970年代頃から「自分たちの文化」「過去を乗り越えた象徴」として再び行われるようになりました。元々は悲しい歴史があるジャンプ・ザ・ブルームですが、近年は過去の嫌だった記憶を一掃して二人で新しい人生を迎えるという意味にも取られています。高く飛んだほうが家庭内での決定権を持つというゲーム感覚で行うこともあるそうですから、真面目過ぎる結婚式は苦手・フランクに行きたいという方は取り入れてみても楽しいかもしれません。

参考サイト:The Unity Candle11 Alternative Unity Ceremony Ideas for Your Wedding10 Wedding Ceremony Rituals and the History Behind Them

家族の愛情や絆を受け継ぎつつ、二人で新しい家庭を作るということを象徴したユニティーキャンドル。個人的にはキャンドルリレーのようなゲスト参加型イベントのほうが好きですが、感動的な演出であることは否定しません。バージンロードの引き渡しよりも、新郎新婦とその実家すべてを大切にしている感じも良いですね。両家から分家して新しい家を立てますっていう感覚も親しみがありますし、キャンドルの灯りってそれだけでロマンチック度が急上昇する気がします。

日本ではまだまだ新しい演出として注目されているユニティーキャンドルセレモニー。教会式以外でもやって悪いことはありませんが、和装婚だと取り入れにくい・屋外挙式で風が強かったら心配という場合にはサンドセレモニー形式などを取り入れてみては?きれいな色のカラーサンドやキラキラパウダー(グリッター)などを使って思い出に取っておく、観葉植物を植えちゃう、なんていうのも素敵ではないでしょうか。