【30秒でわかる】十五夜/中秋の名月とは?結局いつのこと?

【30秒でわかる】十五夜/中秋の名月とは?結局いつのこと?

【30秒でわかる】十五夜/中秋の名月とは

十五夜とは、旧暦の八月十五日の夜のこと。
旧暦8月15日の夜に見える月、それを見るお月見行事を指すこともあります。

十五夜の別名は「中秋の名月」。
旧暦の時代は7月~9月を秋としていました。その秋の期間の真ん中=8月15日を「中秋」と言います。

中国では古くから中秋に“中秋節”という季節行事が行われており、月をお祀りしたり、月見を行っていました。一説によると、中秋と月が結び付けられたのは、この時期の空が最も澄み渡っていて月が美しく見える、と考えられたためだとか。

それが平安時代に日本にも伝わり、中秋の名月を愛でる行事になって行きました。このため、元々“十五夜”は文字通り毎月15日の夜を指す言葉でしたが、現在は単に十五夜と言った場合は旧暦8月15日に該当する日を指すことの方が多くなっています。

十五夜の豆知識

十五夜は、15日でも満月でもない?!

十五夜は旧暦8月15日。
旧暦(太陰太陽暦)での1月の基準は、月の満ち欠けが一巡すること。朔(新月)が1日、そして月が満ち、欠けていって1ヶ月が終わります。古い文献などを読むときは1日は新月なので「月の光がないから隠密に動いた」、15日だと「月明かりで見えやすいから夜通し宴をしたんだな」とか、背景も見えるわけですね。

対して、現在使われている太陽暦(グレゴリオ暦)。
こちらは地球が太陽の周りを回る周期を1年としています。この期間を割って、日数が多い“大の月”と少ない“小の月”に割り振っている形なので、暦の中で月の満ち欠けは考慮されていません。1日が満月、ということもあるわけです。

旧暦の8月15日が、新暦、私達が今使っているカレンダーの何月何日になるかは、朔弦望(月の満ち欠け)と太陽黄経を元に計算されています。このため、十五夜(中秋の名月)は旧暦では8月15日固定だったものの、新暦で“旧暦8月15日”に該当する日を算出すると、毎年別の日にちになるのです。

十五夜は、現在の暦では毎年9月中旬~10月上旬頃にやってきます。

▼旧暦変換の考え方は、こちらで解説されていました。

十五夜=満月じゃないこともある

現在の十五夜は、旧暦8月15日。
旧暦の日にちを現代の暦に換算して「今年の十五夜はいついつですよ」と教えてくれるサービスは結構ありますが、実はその十五夜とされている日が満月とは限りません。

これは計算が間違っているとかでははく、月は新月から15日で必ず満月になるわけではないため。国立天文台の暦Wikiでは、新月から満月になるまでの期間について以下のように説明されています。

  • 平均的には29.5÷2≒14.75日くらい
  • およそ13.9日~15.6日 (±1日弱も変動します)

引用元:暦Wiki/月の満ち欠け/月齢と満ち欠け – 国立天文台暦計算室

このため、旧暦でも15日は“ほぼ満月”くらいの感じなんですね。十五夜とされている日が、満月の前日、もしくは翌日ということも結構あります。

十三夜と“片月見”

十三夜(後の名月)とは

日本には「十三夜」もしくは「後の名月」と呼ばれる月見行事もあります。
“後の”とつくように、八月十五夜の後に来る十三夜=旧暦9月13日の夜に見える月・月見をすること。中国の中秋節との関係が深い十五夜(中秋の名月)とは異なり、こちらは日本独自の月見行事です。

十三夜が生まれた背景には、旧暦8月15日は快晴なら月が綺麗に見えるものの、日本では天候が曇りやすかったという説があります。曇ってしまって、お月見が出来ないので、やり直しをしたようなイメージですね。

更に、満月まで至っていない、満ちる一歩手前の月の姿に美しさを感じる日本人の感性もあるでしょう。満月になったら欠けていくだけなので衰退に通じる、なんて考えていた可能性もありそうです。日光東照宮を完成させなかった考え方ですね。

十五夜と十三夜は両方見なきゃダメ?

十五夜と十三夜の月見は両方すべし、十五夜と十三夜のどちらか一方の月だけを見る“片月見(片見月)”は縁起が悪い、なんて話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。10月頃に、そんな感じのお月見のキャンペーンポップを貼っているスーパーもあったりします。

十五夜と十三夜は合わせて「二夜」と呼ばれることもある行事。
一説では平安時代に宇多法皇が九月十三夜の月を「無双」と称したことが発端とも言われていますが、このときに縁起が悪いなんて話は出ていません。

片月見=縁起が悪いというイメージは、江戸吉原から広まったという説もあります。
当時の吉原は、文化や流行の発信地。吉原通いも一種のステータスでしたので、可能性はありますね。

吉原には紋日(もんび)という、特別な日が設定されていました。この日に遊びに行くと、普段とは違う様式でお迎えしてくれるかわり、料金も高くなります。遊女からすると良い稼ぎが期待できる日ですが、お客さん側からすると毎回に行くのはキツイという感じでしょうか。

紋日は五節句や新月(八朔)、縁日がある日と大体同じ。十五夜も十三夜も紋日になっています。そこで吉原のお姉さまたちは「十五夜に遊んだのなら、十三夜にも遊びに来てくれないと縁起が悪いのよ」と言うようになったと考えられています。

マーケティングの一環・営業のために広まった話で、片月見が良くないという根拠はありません。お月見をしたいなぁ、という方は、片方しか出来ないから良くないの?なんて心配せずに、秋の月を楽しんでください。

▼十三夜と片月見の由来・歴史はこちら