【30秒でわかる】お盆とは?~日本独自の仏教行事~

【30秒でわかる】お盆とは?~日本独自の仏教行事~

【30秒でわかる】お盆とは

お盆とは、夏に行われる先祖の霊を迎え、供養する日本の風習です。
先祖の霊があの世から帰ってきて、家族と共に過ごし、再びあの世に帰っていく……と考えられている期間のことを指します。

お盆の時期は地域・家庭によって異なります。全国的には“月遅れ盆”と呼ばれる8月13日~15日(もしくは16日)の間に行われることが多いです。そのほか“新盆”と呼ばれる7月13日~15日(16日)までや、“旧盆”と呼ばれる旧暦で7月13日~15日(16日)に該当する期間、7月31日~8月2日の期間をお盆としている地域もあります。

日本でお盆は『盂蘭盆会』を起源とした仏教行事、とされています。ただし、日本以外の仏教国にお盆の風習はありません。古代中国の信仰や伝承、仏教伝来以前からあった日本の祖霊信仰(先祖の霊を祀る文化信仰)と合体して出来た、日本独自の風習です。

お盆の豆知識

迎え盆と送り盆の風習

迎え盆(盆の入り)

お盆期間の初日、8月13日~15日がお盆の場合は8月13日のことを「迎え盆」と言います。

文字通り、この日は先祖や故人の霊が帰ってくる期間の始まり。ご先祖様・亡くなったご家族が迷わず家に帰ってこれるように、仏壇や精霊棚に盆提灯を灯してお迎えする風習があります。庭先などでおがら(麻の茎)を焚くご家庭もありますね。帰ってこられるよう目印として灯す明かりは“迎え火”と言います。

送り盆

お盆期間の最終日、8月13日~15日の場合は8月15日のことを「送り盆」と言います。

この日は、ご先祖様・故人の霊があの世に変える日。京都の「大文字焼き」をはじめとして、家庭でも“送り火”と呼ばれる明かりを灯します。各地で行われれている、川や海に火のついた灯篭を流す「精霊流し」の行事も、ご先祖様を送り出す儀式の一つ。送り火の一種と言えます。

日本で「お盆」はいつからあった?

日本で盂蘭盆会は奈良時代から行われていたと考えられています。
ただし最初は宮中行事、平安時代以降も貴族・権力者を中心に行われていた行事でした。

一般庶民がお盆を行うようになったのは江戸時代から。
ちなみに、年に2回(お正月の1月16日・お盆の7月16日)、薮入りと呼ばれるお休みが奉公人に与えられるようになったのも江戸時代以降です。

お盆の由来、盂蘭盆会(うらぼんえ)とは?

お盆の由来、お盆行事の起原とされている『盂蘭盆会』というのは、お釈迦様の弟子だった目連という人(目連尊者)にまつわるエピソード
簡単にまとめると以下のようなお話です。

この目連は、亡くなった自分の母がどうなったか神通力を使って探します。
すると、お母さんは餓鬼道に落ち苦しんでいることが発覚。なんとか助けようとお釈迦様に相談すると「僧たちが7月15日に集まるから、その人たちにご馳走を振る舞い、心から供養しなさい」と言われます。その通りにすると、お母さんは救われました。

ただ、このエピソードには梵語の原典がありません。
後世に作られたお話だ、という説もあって真偽は不明。

なんで、お盆=ご先祖様が帰ってくる?

上で紹介した『盂蘭盆会』のエピソードは、死後の母を苦しみから救うお話。日本で現在語られているような「亡くなった人の霊が、一時的に帰ってくる」なんて話は出てきていないですね。そもそも仏教の考え方は輪廻転生、転生しているのに帰ってくるの?と不思議に思ったことがある方もいるでしょう。

お盆は「地獄の蓋が開く日」なんて話もありますが、実は「地獄の蓋が開く日」や「亡くなったご先祖様が帰ってくる」という考え方は、古代中国に起源があります。古代中国で旧暦7月15日は“地官大帝の誕生日(中元節)”と考えられ、民間では「地府(地獄)の門が開き、祖先の霊が戻ってくる」とも伝えられていました。

日本でも、仏教伝来のずっと前から祖霊信仰と呼ばれる考え方がありました。
祖霊信仰は、ざっくり言うと「亡くなってしまった人々は、子孫や家を守る神様のような存在になる」という考え方です。

古代日本では、その神様の来臨を願った「祖霊祭り」が行なわれていたという説もあります。元々は自分の親やご先祖様だった“祖霊”に、来てくださいとお祈りする…地獄の蓋が開いて出てくるより、ずっとマイルド、今のお盆に通じるところがあるのではないでしょうか。

日本の“お盆”という風習は、母を死後の苦しみから救いたいと願った仏教の『盂蘭盆会』のエピソード、古代中国の伝承、古代日本の信仰が結びつくことで誕生したと考えられます。

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