【30秒でわかる】年末(12月)に大掃除をする理由・由来とは

【30秒でわかる】年末(12月)に大掃除をする理由・由来とは

【30秒でわかる】なぜ年末? 大掃除をする意味は

年末、クリスマス終わりくらいから12月30日頃までに、普段は掃除しないところまでピカピカに磨き上げようとする日本の風習“大掃除”。年の瀬で忙しい、しかも外は寒いこの時期に大掃除をするのは、年神様(歳神様)もしくは歳徳神(としとくじん)と呼ばれる神様をお迎えするためと考えられています。

年神様というのは、お正月に人々の家を訪れてくれる神様。
年神様は一年の福徳を司っている、つまり豊作や幸運・健康などの“良いこと”を与えてくれる神様と昔の人々は信じていました。

その年神様をお迎えするために「お家は綺麗にしておきましょう」というのが大掃除です。余談ですが、門松やしめ縄などの正月飾り、御神酒、おせち料理を用意するのも、年神様をお迎えする・歓待することで「福徳を授けてもらおう」という意味合いがあります。

大掃除の豆知識

大掃除の起源・原型

現在私達が行っている年末の大掃除。
その起源・原型は、1000年以上も前から行われてきた「煤払い(すすはらい)」という行事とされています。

いやいや、昔のお家では年末に限らず煤を払っていたよね?
とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、大掃除の起源とされているのは神事。神様をお迎えするために綺麗にしよう・場をお清めしようという、宗教的もしくは典礼的なニュアンスを持つ行事です。

年神様(歳神様)をお迎えするために掃除をする「煤払い」は平安時代、早ければそれ以前から宮中行事として行われてきました。平安時代、特に高貴な方々は“穢れ”とか“邪気”を非常に恐れていたという背景もあります。五節句や節分にもお清め・厄払いの願いが根底にありますから、煤払いも単に普段できないところを掃除する、というだけではなく、穢れを綺麗にしようという宗教色のあるものだったのでしょう。

庶民が日常の掃除とは別に、新年を迎える前は「年神様をお迎えするために、きっちり綺麗にしよう」と特別な意味合いを持つようになったのも、平安時代~鎌倉時代頃との説が有力です。宮中行事や貴族文化が、徐々に庶民に取り入れられるのは国や年代を問わず“あるある”ですね。

江戸時代の大掃除(煤払い)は12月13日固定

江戸時代になると、大奥では煤払いを12月13日に行うようになります。
これは徳川幕府が12月13日を「正月事始め」、お正月の準備を始める日と定めたため。

この12月13日という日付の選定は、一説では旧暦(宣明暦)で12月13日は必ず二十八宿が“鬼宿”になるためだとか。二十八宿というは、インドをルーツに持つ中国の星占いのようなもの。鬼宿は婚礼以外は全てが吉となる日ですから、確かに、お正月を迎えるための準備開始に最適ですね。

そして、神様をお迎えするための準備で最初に行うのが掃除。場を清める、と言っても良いかもしれません。現実問題として、飾り物をセッティングした後に掃除をしたら汚れてしまう可能性がありますしね。まずは1年の汚れ・穢れを綺麗にして、お正月の準備を始めましょうということです。

江戸幕府のしきたりに倣って、庶民まで多くの人々が12月13日に煤払い・大掃除をするようになっていきました。現在でも神社仏閣で12月13日に煤払いが行われているのは、この影響です。ちなみに、私達一般人は、まだまだ仕事が忙しい時期ですし、クリスマスも定着したため、もっと遅いタイミングで大掃除をすることが多いですね。

大掃除にNG日?ベストタイミングはいつ?

伝統的に「この日は大掃除をしない方が良い」と囁かれている日があるのはご存知でしょうか?

大掃除NG日はあくまでも民間信仰的なもので、罰が当たるとかはありません。ただ、この一年辛いことが続いた、少し運気でもアップしたい、そんな方はちょっと参考にしてみると良いかもしれません。

NG日①:大晦日~元日

大掃除を避けたほうが良い日の代表格と言えるのが、12月31日(大晦日)~元日以降。
これには、以下2つの理由が挙げられています。

  • 年神様がいらしてから掃除するのは失礼
  • 一夜飾り(31日に門松など正月飾りを付ける)は良くない

もっと端的に言うなら「年神様に失礼だから」でしょうか。
年が明けて、年神様がいらっしゃるのに掃除するのは言わずもがなですね。

更に、年神様がいらっしゃる直前に慌ただしくしているのは望ましくない(神様に対して失礼)という考え方もあります。正月飾りは、基本的に大掃除の後に飾り付けるもの。それでも31日に慌ただしくセッティングするのはNGとされていますから、掃除はもっと前に終わらせる必要があるというわけです。

▼正月飾りについてはこちら

 

NG日②:12月29日

12月29日がお正月の準備をするのに良くないとされるのは、9が“苦(く)”に繋がる=縁起が悪いと考えられているため。特に29日は“二重苦”に通じるということで、避けるべき日とされています。

ただ、こちらは言ってしまえば語呂合わせ。
「土用の丑の日に“う”のつく食べ物を食べたら運気が上がるよ」くらいなものです。

比較的スケジュールがカレンダー通りの学生さん・お勤めの方であれば、29日が大掃除に都合が良いことも結構あります。年末に大掃除はしない派も珍しくはない今日このごろですから、気にしすぎる必要はないでしょう。大掃除出来なかった、と気に病んでしまうなら、あまり日付にこだわらずに行うほうが良いです。

大掃除は12月13日以降、クリスマスの片付けとセットで

大掃除を開始する目安は12月13日とされています。これは、江戸時代の「正月事始めの日」の風習の影響ですね。ただし、現代の暦では12月13日=二十八宿が必ず“鬼宿”になるわけではありません。ですので、目安というくらいに捉えておけばOK。大掃除を小分けにして進めたい方は、もう少し早くから始めても良いでしょう。

「別の神様をいっぺんにお祀りするのは良くない」という見解もありますから、キリスト教の行事であるクリスマスが終わってから大掃除をする方も多いでしょう。年末年始のお休みが始まるのもクリスマス後の事が多いので、クリスマスの片付けと大掃除が同タイミングだと良さそうですね。