【30秒でわかる】マフィンの種類と歴史・ルーツとは
【30秒でわかる】マフィンの種類と歴史
日本で単に「マフィン」と言うと、カップケーキに似たしっとり・ふわふわ食感の焼き菓子を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、イングリッシュマフィンと呼ばれる、平べったい円形をしたパンもありますよね。
全く別物に思えるこの2つ、実は起源は同じ。
マフィンの発祥、ルーツはイギリスにあると考えられています。イギリスで食べられていたパンに違いものがアメリカへと伝えられ、アメリカで独自に進化したのがお菓子系、ふわっとしたマフィン。マフィン(Muffin)という言葉の登場も、18世紀イギリスの書籍が最古とされています。
ふんわりと中央が盛り上がった、焼き菓子のようなマフィンへの変化は、ベーキングパウダーが発明されたことがきっかけです。19世紀半ば以降、アメリカの家庭では、ベーキングパウダーを使って発酵時間不要で作れるマフィンが多く作られるようになりました。
マフィンのマメ知識・雑学
マフィンの種類はイングリッシュ・アメリカンの2つ
上でも紹介ましたが、マフィンはイングリッシュマフィンと呼ばれる平たいパンのようなもの、アメリカンマフィンと呼ばれるカップケーキに似た形状・食感のものの2種類に大きく分けられます。
イングリッシュ・マフィン(English Muffin)
エッグベネディクトや、朝マックの“〇〇マフィン”シリーズで使われている、パンのような食感のイングリッシュマフィン。生地にイーストなどの酵母を加え、発酵させてから焼くとことが特徴。作り方・材料の関係から“パン”に分類されることが多い存在です。
このため、ベーカリーマフィン(bakery muffin)、もしくは平らな見た目からフラットブレッドマフィン(Flatbread muffin)とも呼ばれています。イングリッシュマフィンはアメリカや、アメリカの影響力が強い地域で使われる呼称。イギリスでは単に「マフィン」と呼んだり、フラットブレッドマフィンと呼びます。
また、イングリッシュマフィンはオーブン調理ではなく、フライパンや鉄板などで表裏を焼きます。その結果、両面に焼き目のついた、平べったい形になるわけです。マフィンの生地自体はプレーンにして、ジャムを塗ったり、チーズやベーコンを挟んで食べる傾向があります。日本で言うところの“食パン”に近い食べ物です。
アメリカン・マフィン(American Muffin)
アメリカンマフィンは、カップケーキのように厚みがあり、上部がふんわりと膨らんでいることが特徴。アメリカやアメリカ文化の影響が強い国では、単に「マフィン」と呼べばこちらを指すことが多いでしょう。日本でもそうですね。
アメリカンマフィンは、見た目だけではなく食感も柔らかく、イングリッシュマフィンよりフワフワ。この違いは、酵母で発酵するか・ベーキングパウダーを使って膨らませるかです。アメリカンマフィンは基本的に発酵させず、ベーキングパウダーを使って作るため、別名クイックブレッドマフィン(Quickbread muffin)とも呼ばれています。
アメリカンマフィンは、生地に砂糖をいれて甘くしたり、チョコチップやブルーベリーなどを練り込んだりとバリエーションが豊富。スイーツ系フレーバーだけではなく、しょっぱい“食事系”の味付けもありますが、作り方やバリエーションの傾向から“焼き菓子”に分類されることが多いです。
マフィン(Muffin)の語源は?
私達が使っているマフィンという呼び名は、英語の“Muffin”の音を拾ってカタカナにしたもの。
本家である英語“Muffin”の語源、由来は何かというと、はっきりとはわかっていません。有力視されているのは「小さなケーキ」を意味する低地ドイツ語の“muffen”が語源という説と、柔らかいパンを意味するフランス語の“moufflet”もしくは“moffin”が語源という説の2つ。
マフィンの起源・歴史
マフィンの起源・ルーツは?
今や全く別物のイングリッシュマフィンとアメリカンマフィンですが、アメリカンマフィンのルーツも生地を発酵させる“パン系”のもの。イギリスで食べられている、パンタイプのマフィンの方が歴史は長いのです。
イングリッシュマフィンと呼ばれるようなパンが、イギリスでいつ頃から食べられていたかは断定されていません。文献にマフィン(muffin)という言葉が初めて登場したのは 1703年[1]とされており、18世紀の料理本ではマフィンについての記述もあります。
18世紀半ばから19世紀のイギリスでは、焼きたてのマフィンを入れたトレイを持ち、ベルを鳴らしながらマフィンを売り歩く”マフィンマン”も登場しています。少なくとも18世紀から、イギリスでは円く平たい形のパンがマフィンと言う呼び名で認知されていたと考えられます。
ただし、いつからイギリスでマフィンが食べられていたかは不明。
というのも、イギリスではクランペット(crumpet)という、鉄板でパンケーキのように焼くパンも食べられています。クランペットは14世紀には食べられていたことが確認されているため、クランペットのバリエーションとしてマフィンが出来たと考えられています。
アメリカン・マフィンはいつから?
イギリスで食べられていたマフィンは、アメリカにも伝わりました。アメリカでも最初は、酵母で発酵させて焼いたフラットブレッドタイプのマフィンが食べられていたわけです。ただし、入手しやすかったコーンミール(トウモロコシ粉)を使ったり、糖蜜やメープルシロップを加えて甘くしたり[2]と、アメリカ版のアレンジはされていたようです。
そして、19世紀後半になると取り扱いが容易なベーキングパウダー(膨らし粉)が発明されます。混ぜて焼くだけ・発酵時間がかからないことから、ベーキングパウダーを使ったマフィンが主流になっていきます。また、同じくらいの時期に、マフィンカップに入れてオーブンで一気に焼くという料理方法も普及していきました。
クイックブレッドマフィンとも呼ばれるよう、調理にかかる時間を短縮したマフィンがアメリカの家庭では好まれたわけです。20世紀後半にはマフィンを売るお店も増え、店ごとにナッツ・チョコレート・フルーツ・クリームなどを加えたことで、マフィンのフレーバーは数え切れないくらいに増えていきました。
イングリッシュマフィンはアメリカ発祥説も
マフィンのルーツはイギリス……なのですが、実は“イングリッシュマフィン”はアメリカが発祥という説もあります。その根拠となっているのは「Thomas’」の創立者であり、イギリス系アメリカ人であるサミュエル・バース・トーマス(Samuel Bath Thomas)氏。
彼は1880年に自分のパン屋をオープンすると、発酵させた生地を平たく焼いたパンを、トーストの代わりになる商品として販売。この時アメリカではベーキングパウダーを使ったマフィンが主流になっていましたが、この商品が大ヒットしたことで、フラットブレッドマフィンの存在が見直されたのです。
1900年代に入るとフラットブレッドマフィンはイングリッシュマフィンと呼ばれるようになり、1926年には“English Muffin”で商標出願もされています。イギリスの方々は自分たちが食べているマフィンをそう呼びませんし、「クランペットは外側まで穴が空いているのに対し、アメリカで作られたイングリッシュマフィンは内側にしか穴がない」違いがあることから、イングリッシュマフィンはアメリカ発祥という方もいらっしゃいます。
【参考サイト】
-
前の記事
【30秒でわかる】ブラウニーの発祥・歴史とは 2024.08.09
-
次の記事
記事がありません